遺書(ブログ)

“まったく打てないMVP”甲斐拓也は、歴史に残った。

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昨夜日本シリーズ第6戦、ソフトバンクホークスの勝利によって、今年のプロ野球の試合は全て終わった。終わってしまった。

また来年の4月まで(オープン戦から楽しむから3月とも)、プロのプレーが見られなくなると思うと意外と重大だ。
シーズン中は毎日欠かさず野球中継は見ていたので(今年はDAZNにお世話になった)、これがなくなるとなると、大げさでなくおれの生活リズムが大きく変わる。

だって、毎日予定されていた3~4時間がぽっかり空いてしまうのだ。老い先が短く、残りの持ち時間をなるべく充実したものに塗りつぶしたいおれとしては、このアディショナルタイムはありがたくもあり、悩みにもなる。

人間というのは怠惰な生き物で、時間が空けば空いたで、何も考えず口を半開きにしながら、その時間を無為に過ごすことも可能だ。
その時間を少しは有意義に埋めるためにも、今後は、以前から準備して放っておいたブログに時間を使ってみようかと思う。

さて、今回の日本シリーズは異様に面白かった。

初戦から両チーム一歩も譲らぬ12回延長引き分け。
以降の試合も、覇権を争うトップチームの試合らしく、一切ダレたところもなく、闘志むき出しの好ゲームが続いた。
いくつものビッグプレーも目にした。

おれは30年来の日本ハムファンで、広島もソフトバンクも、チームとしての興味はないのだが、それでも”イチ野球ファン”として大いに熱くなれた。
何度も鳥肌を立てたし、大声を上げたし、感動して涙した。

結果は誰もが知るとおり、ソフトバンクホークスの日本一載冠。

パ・リーグ2位なのに……という気持ちはなくはないが、個人的には「ホークスだからあの無敵の広島を倒せた」と思うことにしている。あの6試合を観戦した上で、ホークスは日本一に相応しいチームだと言える。

そしてMVPはホークスの正捕手・甲斐拓也。
この選出は歴史的なことだと思う。

シリーズ中の打率は.143。6試合でヒットは2本しか打っていない。もちろん打点はゼロ。
はっきり言って打者としては下位打線中の下位打線(甲斐打線・・・)。守る側のカープとしては、猛打ホークス打線のなかにあるオアシスのような存在だったろう。

ところが守りとしては強肩(通称:甲斐キャノン)を発揮し、カープの盗塁を完封。6連続盗塁刺というシリーズ新記録を打ち立てた。

とはいうものの、これまで日本シリーズMVPの歴代獲得選手をさかのぼると、昨年は1勝2Sのサファテ(H)、一昨年は3HR7打点のレアード(F)、3年前は打率.500 2HR8打点の李大浩(H)、さらに何十年さかのぼってみても、数字でわかるほど、投打において明らかに活躍した選手しかMVPに輝いていないことがわかる。

ようするに、今年の甲斐のように「数字で表現できない」部分が評価されてMVPに輝いたのは初めてと言っていい。

それなのに、実際にヤフーニュースやツイッターなんかを参照しても、この選出に異を唱える声は聞こえない。「そりゃそうだ」「当然」「納得」という声が大半を占めている。

それほど、捕手・甲斐拓也の今シリーズでの存在感は圧倒的だったということだ。

もちろん、ファイターズファン、というかパリーグファンは、この圧倒的な”甲斐キャノン”を日常のものとしてよく知っていた。
甲斐の肩は侮れない。捕手が甲斐の時は走れない。常識だ。
ただし、これは”いま現在のパリーグファン”にとってだけの常識だった。

歴史に語り継がれるほどの選手ではないだろう。そう思っていた。だって、強肩は主要な数字には残らないから。

ところがついに、その強肩によって「日本シリーズMVP」という、ある意味数字よりも強い”鑑定書”がついてしまった。

“まったく打てないMVP”甲斐拓也は、歴史に残った。

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