遺書(ブログ)

フォースとともにあらんことを

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午前中に映画館に行ってきた。
「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」。正月を挟んで2度目だ。
正確に言うと、1度目はIMAXレーザー3D(字幕スーパー)の全部乗せ(2800円)で、今回は2D日本語吹き替え版(会員割引1300円)だ。同じ映画をIMAX非IMAXで見比べてハッキリわかった。本当に違う!

解像度が違う、迫力が違う、音響が違う。イコール没入感が桁外れに違う。
思いついたまま言葉で並べてみると陳腐な表現しか出てこない。

「いやいや、いくら『没入カンガー!』なんて大興奮で説明されても、さすがに1000円も多く払う価値はないでしょ」と思っちゃってる諸君。

ある!

あるぞ価値。体験したことがないならば、一度体験してほしい。
いいか、そんなこと言ったら映画館で観ること自体に1900円の価値はない。TSUTAYAリリースまで半年待てば、350円で観られる。わざわざ映画館に行って観ることの価値を、1000円払って最大限まで引き上げろ。

さて、今回の「スターウォーズ」は最高だった。
様式にうるさいオールドマニアの間では新三部作には賛否があるようだが、おれにとってはしかない。特に今回は、最初からスタッフロールの直前までずっとゾクゾクしっ放しだった。
だから2回見た。おれは好きな映画は(DVDで)何度も見るタイプだが、映画館に複数回行ったのは生まれて初めてのことだ。
それくらい気に入った。

こんなことを言うと「それは言い過ぎだろう」、もしくは「逆張りしてんじゃねえよ」と怒られるかもしれないが、そんな世界の中心でおれは敢えて叫ぶ。

「スターウォーズ」正史シリーズの3つの三部作のなかで、おれはこの新三部作が一番好きだっ!

どうもおれはこの三部作の主人公、レイというキャラクターがど真ん中らしい。おそらく主人公が彼女でなければ、ここまで賛辞を送ることはなかったかもしれない。

レイ

変な告白をするが、自己分析するに、おれは「天才少女」にコンプレックスがある。いや、そんな顔しないでほしい。

ガンダムではララァに憧れたし、音楽なら古くは宇多田ヒカルにハマり、現在進行形であいみょんにハマっている。

彼女らに共通することは、「最初からすごい」ことだ。
ララァは最初からとてつもない能力を発揮したし、宇多田ヒカルは15歳のファーストアルバムで700万枚を記録した。

思えばレイも、シスとして頂点に上り詰めたカイロレンと「最初から」互角に渡り合った。

主人公が男の子なら成長物語がいいが(SWのルーク、ガンダムのアムロetc…)、自己投影の必要がない女の子の主人公には、紆余曲折の成長はいらない。清く正しく、そして「強い」。ここにグッときてしまうのだ。おれはマゾなんだろうか。

とにかくだ。おれの好きなレイが終始圧倒的な力を見せるこの新三部作、特に今作「スカイウォーカーの夜明け」にはシビれた。観ていると、ときどき感動とは種類が違う涙も溢れた。

荒波バックのカイロレンとのチャンバラシーン、これは一生おれの心に残る名場面になるだろう。

オールド三部作(4、5、6)のような剣道の稽古とは違った、現代なりにダイナミックな殺陣もさることながら、同時にこの戦いの中で揺れ動く2人の心情もよく見えた。

「暗黒面に来い。本当のお前はワルなんだぞ」
「絶対イヤよ。でも…もしかしたらそれが運命なの?」
「そうだ、運命に身を任せろ」
「本当のあんただって強がってるだけでしょ」

「う、うるせえ、お、お、俺はワルだーーーー!」

そんな激しい心の攻防を視覚化するかのように、巨大な荒波が2人に襲い掛かる。
たまらん。胸が熱い。心の中で「終わるな」と念じながら見ていた。

この名場面がだいたいストーリー中盤。

こうしてレイとカイロレンがライトサイドとダークサイドを行き来している中、実はおれの大腸も暗黒面に支配されつつあった。
誤字じゃない。たしかに「大腸」と書いた。

昨日、讃岐うどん屋で天かすを盛りすぎたんだと思う。実は朝から腹の調子が悪かった。
朝起きて以来トイレには3度行っているが、残便感は消えないまま、映画館に臨んでいた。

で、案の定、映画中盤あたりでダークサイドの波が来たというわけだ。

どういうわけか、おれは映画にはこういうトラブルが付きものらしい。1年ほど前にも似たようなことがあった。

どうにか肛門筋にフォースを、文字通り一点集中して辿り着いた終盤。

主人公のレイと、ライトサイドについたカイロレンが、シスの本拠地に乗り込む。ああ、このときは「カイロレン」ではなく便と呼ぶべきか。いや「ベン」

ベン

2人が魔王パルパティーンと対峙したその時こそ、おれのフォースのピークだった。スクリーン上での光と闇の対決もクライマックスだ。

暗黒シスのパワーで2人を揺さぶるパルパティーン。
それを2人の力を結集して押し返すレイとベン。見ているおれも他人事じゃない。

あまりに巨大な暗黒のパワーに、レイはその場で力尽き、便は遠くに飛ばされる。いやベン。

うああああああああ!!

ダブルミーニングでヤバイ!

しかしそのとき、レイの耳元では伝説のジェダイたちの英霊がささやく。「大丈夫。君は1人じゃない」。立ち上がるレイ。2つの意味で鳥肌を立てながらも、なんとか正気を取り戻すおれ。そして祈るようにつぶやく。「フォースとともにあらんことを」。

ジェダイのパワーを取り戻したレイが、最後の力を振り絞りパルパティーンに立ち向かう。ここのセリフが最高だ。

パ「余はシスのすべてじゃ」
レ「私がジェダイのすべてよ!」

決まった。最高だ。
持てるパワーの全てを放ったレイは、ついに暗黒面に打ち勝ったのだ。ところが、銀河を救ったレイはといえば……目を開けたまま動かない。まさか死んでしまったのか。
同じく、その頃おれも唇をカサカサにしながら屍と化していた

そこへ現れたのが、遠くに飛ばされたはずの便。ベン。
レイの”遺体”をそっと抱きしめると、目を閉じ、自らの命を注入し始めた。なんと目を覚ますレイ。2人はそっとキスをし、ベンは本懐を遂げたように消えていく―――。

その時、不思議なことが起こった。なぜかはわからない。ベンの身体とともに、おれのベン意も同時にスーッと消えていった。いや便意。
これがフォースか。おれの便もライトサイドに改心したのか。
ベンのおかげで無事峠を越えることができたおれは、この後エンディングロールまで集中して楽しめた。

映画が終わり、映画館のトイレの個室に駆け込んだ後、おれは半世紀近く生きて初めて、こう心の底からつぶやいた。
「フォースとともにあらんことを」。すべて、終わらせた。

そして約30分も出てこられずに、駐車場代を400円余計に払った。

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