マッキー本田

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【備忘観戦録】〇松坂大輔の最後と次世代ファイターズの躍動(10・19メットライフドーム)

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勝利投手 日本ハム 生田目 (1勝0敗0S)
敗戦投手 西武 髙橋 (11勝9敗0S)

試合はファイターズが危なげない展開で勝利したが、今日の主役は最初から最後までライオンズ松坂大輔だった。

今日が最終登板となる松坂大輔は先発だった。「打者1人」だけの登板。栗山監督は、偉大な「平成の怪物」の最期を看取るのに相応しい選手として、横浜高校の後輩でチーム最高の打者・近藤健介を指名した。

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1回表、先発松坂と一番打者近藤の対決は全5球だった。すべてストレートで、ストライクは1球のみのフォアボールで終わった。近藤は一度もスイングすることはなかった。少し悔しそうに一塁へ歩く近藤の表情が印象的だった。

最高球速は118km。もう「平成の怪物」の面影はない。自身も語っていたように、本当に「プロとしてマウンドに上がるべきではない状態」だった。それでもファンのために”最後の全力”を出し切った。ファンもそれでよかった。場内はライオンズファン、ファイターズファンにかかわらず、みんな手を叩いていた。スターに相応しく、盛大な拍手に包まれながら「悔いはない」といった表情で、松坂大輔は23年間の現役マウンドを下りた。

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松坂が四球のランナーを出してマウンドを下りた後は、1回を十亀剣が継ぎ、2回から現エースの髙橋光成が上がった。この髙橋をファイターズが攻めた。3回に杉谷拳士のタイムリーによる先取点と、5回に野村佑希のスリーランホームランで一気にKO。

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このホームランが出ると、今季初登板ながらここまで1安打1失点と好投の先発・生田目翼がさらにノった。5回6回をスイスイと無安打で切り抜け、自身プロ入り初勝利の実現を7回以降のリリーフへ託した。

7回の宮西尚生は2安打を許すもなんとか無失点、しかし8回のB.ロドリゲスが山川穂高に一発を浴びてしまう。2点差。チームの勝利と生田目の初勝利に黄色信号が灯ったところで、もう一人の若武者がやってくれた。

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9回表2アウト、四球出塁の髙濱祐仁を一塁に置いて、万波中正が追いすがるライオンズの望みを断ち切るかのようなツーランホームラン。ここで勝負あった。

9回は玉井大翔がしっかり三者凡退にまとめてゲームセット。プロ入り初勝利の生田目と、野村万波、3人の同期(2018年ドラフト組)によってもたらされた3連勝。ファイターズは4月3日に最下位に落ちて以来、初めての最下位脱出を達成した。

試合後には、今季限りで引退する松坂大輔が、本拠地のマウンドとお別れ。その後、チームメイトたちによる胴上げ。

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おれもこの球場にいた。松坂は、最後にファンへ挨拶するために球場を一周した。1塁側に来た時、おれは夢中で松坂タオルを振りながら、心の中で何度も叫んだ。「ありがとう!ありがとう!」

この数年間は本当に辛かっただろうけど、最後にマウンドに帰ってきてくれて、本当にありがとう。

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「平成の怪物の最期」介錯人・近藤健介

撮影:マッキー本田

今日のクライマックスはプレイボール直後だった。これをリアルタイムで見届けた者として、絶対に忘れてはいけないシーン。

バッターボックスには、「ファイターズ最高の打者」にして「松坂大輔を輩出した横浜高校の後輩」近藤健介だ。オーダーを組む栗山監督による最大の敬意だ。伝説の投手の最後に相応しい対決にワクワクした。

もちろん、松坂は“本来はマウンドに立ってはいけない状態”、対して近藤は現役バリバリの一流打者だ。「対決」とはいっても勝負にはならない。もはやセレモニーのようなものだった。

それでもおれは「間に合った」と思った。年齢は一回り以上も離れているが、「横浜高校伝説の投手」「横浜高校が生んだ最強の打者」の対決だ。世代が離れているので、一生見られないと思っていた。だからマウンドとバッターボックスで対峙するシーンを見られただけでも涙が出そうになった。間に合った

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心の底から近藤には打ってもらいたかった。数々の伝説を積み上げたが、体を壊し、どん底まで落ちきり、それでも限界まであがき続けてきた誇り高き男が、「ひと思いにやってくれ」と首を差し出している。”介錯人”に選ばれた近藤は責任重大だ。お約束の”三振”なんかは、日本中の誰一人として望んでいない。ライオンズファンでさえも、手を合わせて祈っていた人は多かったと思う。「近藤頼む、打ってやってくれ」と。最高の打者に最後に気持ちよく打ってもらうことが、偉大な投手への最大のはなむけだ。

しかし結果は四球だった。

全5球。全球ストレート。最高球速は118km。2球目だけストライクゾーンを捉えたがこれはコースが良すぎた。アウトローギリギリをかすめる球で、確実にヒットにするには難しいと近藤は判断したんだろう。もう少し内側に寄ってくるのを待った。

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しかし、結果的にこれ以降は打てる球がこなかった。5球目が内角に大きく外れてフォアボール。一塁へ歩く近藤の表情がどこか寂しげに見えた。

近藤は立派だったと思う。5球目のボール球を空振りして、もう1球投げさせることもできたが、そんな茶番もいらない

松坂は全力で投げてストライクが入らなかった。
近藤はそれをプロ野球選手として見送った。

近藤の最大のリスペクトは「真剣勝負」だった。23年間、真剣勝負で栄光を勝ち取った男に対して、見世物的な要素はいらない。近藤健介は介錯人として、しっかりその責務を全うした。

その成果は、マウンドを下りた後の松坂のスッキリした表情が証明している。

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