遺書(ブログ)

87分の1の人生

更新日:

ジャンル コメディ/ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2023
公開年月日 2023年3月31日(日本未公開)
上映時間 129分
鑑賞 アマゾンプライムビデオ

 

こんなボロボロなピューちゃん見たことない

モーガン・フリーマン主演で邦題に「人生」がつけば、泣かせにくる映画に確定。さらに共演は世代最強の超演技派若手女優(おれ判定)フローレンス・ピュー。これは鉄板でしょう。アマプラのどこかの欄で目に留まって、思わず「見つけたぞ」とつぶやいた。

こりゃ泣けた。ボロ泣き。

キャストの一番手はモーガン・フリーマンになっているが、実質的な主人公はフローレンス演じるアリソン。結婚直前の幸せの絶頂のなか、自分の運転する車で交通事故に巻き込まれ、同乗していた婚約者の姉夫婦が亡くなってしまう――となかなかのヘビーな始まりで、いきなり「あれ? いつものモーガン・フリーマンの”人生”シリーズと様子が違うぞ?」となる。

あまりの罪悪感に精神を病み、オーバードーズで廃人のようになってしまったアリソン。彼女を演じるフローレンスが凄まじかった。美しかったロングヘアを自らの手でバッサリ切り、鏡に映る彼女の肌はボロボロ、ノーメイクの顔は赤ジミだらけで目の下には何重ものクマ。一日中同じパジャマを着て、カーテンを閉め切った暗い部屋のソファの上、うつろな表情でゴミのようにうずくまっている毎日。心配してくれる母親にもキレて「薬よこせー」とわめく始末。

あの「美人で明るくて勝ち気で高飛車で(体格がよくて)……」といった、いつものフローレンス・ピューからは想像もつかない。もうこの時点で、アリソンがどれだけ深く心に傷を負っているかが推し量れる。

「こんなボロボロなピューちゃん見たことない」、このギャップだけでも必見だし、このギャップを上手く利用したキャスティングもお見事だと思った。

モーガン・フリーマンは婚約者の父、つまり”娘(婚約者の姉)を事故で失った父親”にあたるダニエルを演じているが、こちらはいつもの優しくて柔和なモーフリだった。

アリソンを心から憎んでいてもおかしくないのに、まるで娘を心配する父親のように接する。廃人のように自分を傷め続けるアリソンを叱咤激励し、まだ若い彼女を再生へと導くメンターのような関係性になっていく。

それでもこの期に及んで「悪いのは私じゃない」と発言するアリソンに、どうしてここまで優しくできるんだよ、と共感しかねる部分もあったが、今思えばこの違和感もラストの伏線だったんだなと感心した。

ダニエルの孫(つまり事故で亡くなった両親の娘)とも関わるようになり、彼女がきっかけで事件があった後の、最後のクライマックスシーン(言っちゃうと、アリソン再生のシーン)は感動的だったな。ずっと泣いてた。

無表情で土気色だった顔色が段々と生命力に溢れていく感じ。本当に「フローレンス・ピューの演技はすごい!」と思わされるシーンだった。いや、フローレンスって歌上手いんだね。「アモール・ファティ」。最後には、自分の余生に残りそうなお言葉をいただきました。

そうだ、思い出した。
この作品をアマプラで見つけたのは「見放題が終了間近の映画」欄だった。ラスト30分だけもう一回観とこうかな。

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