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どうだ!うちの秋吉と谷内はすげえだろ!

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ファイターズファンにとって、今年の選手動向は気持ちが忙しい。
ドラフト会議では吉田輝星の獲得、オフに入れば中田・宮西の残留、王柏融(ワンボーロン)と金子弌大の入団など、ファンを大いに喜ばせてきた一方で、シーズン中の岡大海の移籍やトンキン退団など、やるせない出来事もあった。

そして極めつけは、今日公式発表があった高梨裕稔と太田賢吾のトレード。ここにきて、これはなかなか強烈だ。

ファイターズの冷徹さは、なかなかにファンの心をかき乱す。

「これはいいトレードだ」とか「納得いかないトレードだ」とかいう評価はしない。これだけチームのために意欲的に動いている球団の判断は、必ず最善であると信じる。

ただ悲しい。
やりきれない気持ちはすぐには埋まらない。
だから、こう思うことにする。

クラスメイトの高梨くんと太田くんが転校する。

親の転勤の都合だから、クラスメイトが「なんで転校させるんだ」「残ってくれよ」などと叫んでも無意味だ。

せいぜい

「あっちの学校でも頑張れよ」
「新しい友達ができるといいね」
「たまには遊びに来いよ」

などと激励を送りつつ、きつく唇を噛み締めながら、彼らの思い出を振り返るだけだ。

高梨を思い浮かべると、どうしても「418の惨劇」を思い出してしまう。ファンにとって思い出したくない試合の一つだが、あの日の高梨は完璧だった。
のちにリーグ優勝を果たす超強力ライオンズ打線を手玉に取っていた。リリーフ陣が打ち込まれて勝ち星が消えてしまったため、メンタルが心配されたが、その後も彼らしいナイスピッチングでローテを守った。高梨は本当に強い男だった。
あの苦境を乗り越えたんだから、君はもう大丈夫。ヤクルトでもローテーションの柱として勝ち星を積み上げてくれ。

太田賢吾は、昨年9月に東京ドームで観戦した楽天戦で放った初ホームランが強く印象に残っている。
1塁側の内野スタンドから見ていたので、ライトスタンドに吸い込まれる放物線が真横からよく見えた。本当に美しかったなあ。滞空時間の長い、アーチストの弾道だった。
あの弾道が忘れられなくて、太田が打席に入るたびにホームランを期待してしまったよ。その願いはついに叶わなかったけど、君はまだ21歳。少しだけホームランが打ちやすくなった神宮球場で、近い将来、どんどんかっ飛ばしてほしい。

ツイッターのタイムラインでは「辛い」「受け入れられない」「家に帰りたい」など、発表から何時間も経った今も嘆きの声で溢れている(おれのTLのほとんどはファイターズファン)。

しかし徐々に「秋吉さん谷内さんファイターズにようこそ」「よろしくお願いします!」という、前を向いたツイートも増えてきた。

そうだ。トレードは悲しいだけじゃない。
“別れ”があれば”出会い”もある。

新しくクラスメイトになる転校生についても調べてみよう。

秋吉亮くん。
プロ入り5年で283試合(!)も登板し、通算34セーブ67ホールドという物凄い実績を持つ投手で、2015年リーグ優勝の立役者。ヤクルトの圧倒的なリリーフエースだったが、ここ2年は期待されたほどの成績は上げられなかった。北の大地で、あの頃の輝きを取り戻してほしい。君なら絶対できる。
ちなみに秋吉は東京の都立高校出身で、高校時代は斎藤佑樹率いる全盛時代の早実を中盤までノーヒットに抑えたこともあるらしい。

谷内亮太くん。
内野ならどこでも守れるユーテリティプレイヤー。その利便性から1軍では守備固めなどでの起用が多いが、本来はその打棒が期待される未完の大器。
ショート中島卓也やセカンドカルテット(渡邉諒、賢介、杉谷、石井一成)を脅かす存在になってほしい。
ちなみにおれと同じ國學院大學出身で、昨年ヤクルトから来た杉浦稔大の1年先輩。個人的には、2人とも院友(國學院大學の卒業生をそう呼ぶ)として特別扱いさせてもらう。

なんだか少しだけ楽しくなってきた。

そうだ。選手の出入りが多いファイターズのファンは、いつだって、こうして別れの悲しみを乗り越えてきた。

思えば2年前、吉川光夫・石川慎吾が移籍したときも本当に悲しかった。
何だこのトレードは。ふざけんな。
当時は正直怒りを隠しきれなかった。
しかし今では、“ファイターズの大田泰示”の熱血プレーを誇りに思い、“ファイターズの公文”の投球に胸を熱くしている。

記憶に新しいところでは、岡大海もそうだ。
シーズン中で「これから本領発揮」というところだったので、しばらくは”岡ロス”から立ち直れなかった。
しかし、忘れもしない8月16日。ロッテ戦で先発の藤岡貴裕が岡大海に連続ヒットを打たれた時は”悔しかった”。
今ではすっかり、“ロッテ岡大海”はファイターズ戦でよく打ちやがる憎きライバルで、“ファイターズ藤岡”の復活を心から願っている。

想像する。

2019年7月。交流戦。
敵の先発はすっかりローテの軸になっている“ヤクルトの高梨裕稔”。ショートには、春先に頭角を現した“ヤクルトの太田賢吾”がいる。
打席には“ファイターズの谷内亮太”だ。“ヤクルトの高梨裕稔”が投げた渾身のストレートを“ファイターズの谷内亮太”がレフトスタンドへ逆転ホームラン!
そしてリードした次の回、勝ちパターンでマウンドに上ってきたのは“ファイターズの秋吉亮”だ。
左打席に立つ“ヤクルトの太田賢吾”は、変速フォームから投げ込まれる“ファイターズの秋吉亮”の豪速球にジャストルッキン。歓声とため息に包まれるスタンド。心の底から拳を突き上げるおれ。

思い浮かべるだけで心が震える。

今はまだ高梨と太田賢吾ロスは抜けていない。
今日の今日だからということではなく、多分少なくとも開幕までは引きずると思う。おれは意外と女々しい。

でも徐々にその傷は癒えてゆき、交流戦が繰り広げられている頃には、必ずこう叫んでいるだろう。

どうだ!うちの秋吉と谷内はすげえだろ!

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