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ミラー先生の秘蔵っ子(Miller’s Girl)

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ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2024
公開年月日 日本未公開
上映時間 93分
鑑賞 アマゾンプライムビデオ

ジェナ・オルテガの「ロストラ」を期待したが

ビートルジュース×2」と同時期に製作されたジェナ・オルテガ主演2024年の最新作。

Filmarksにも邦題登録されていないほどのガッツリ配信スルー作品で(邦題は『ミラー先生の秘蔵っ子』)、地雷臭はプンプンしたが、1分考えて399円アマプラ課金鑑賞した。

いやあ、文学的。

序盤はジェナ演じる作家志望のJKが、官能小説家の中年文学教師に惹かれていく展開。アマプラのジャンル欄には「コメディ」とあるが、コメディ要素は一切なく、思春期の女の子が「文学」を通して中年教師へ徐々に距離を縮めていくドラマだった。

あれを思い出した。ソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」。

=「ロストラ」(心の中でそう呼んでいる)も、暇を持て余した若妻(スカーレット・ヨハンソン)が中年俳優(ビル・マーレイ)との触れ合いの中で、お互いに友情とも恋愛ともつかない感情を育んでいく物語だった。ソフィア監督独特のエモ映像と、美しいスカヨハ(撮影時18歳!)による奇跡のマッチングで、個人的には「まったく面白くないのに大好きな映画1位」に今も燦然と輝いている。

なるほど、ジェナ・オルテガでこれをやりたかったんだろうな、と最初は思った。

テネシー州の片田舎の美しい風景、ゆっくりと流れる時間、それにピッタリな穏やかな音楽、ソフィア監督ばりのエモ映像と文学的なセリフ。そして、暇を持て余した美しいジェナ。画面に映るもの、聴こえるものすべてが、耳目が潰れるほど美しい。

そんな、少しでも触れたら壊れちゃいそうな世界観で、一人の女子生徒と中年教師ミラー(マーティン・フリーマン)が近づいていく。

おれなら即食いついちゃいそうな甘美なシチュエーションだけど、勝手なもんで「ダメだミラー先生! おまえ教師だろ。愛する妻もいるんだろ。頑張れ、それ以上距離を詰めたらダメだ!」と、ハラハラドキドキしながら観ていた。

これ!

誤解を恐れずに言うが、「モラル的に絶対ダメ!」と「でも気持ちはわかっちゃう」の絶妙なせめぎ合い。「中年男が絶対に触れられない領域に、手を伸ばせば届いてしまう」この感覚が「ロストラ」と似ている。

わかる! けどダメ! でも好きになっちゃうよねえ……。ああツライ。苦しい。でもこの感じがたまらん。

見つけた、と思った。「ロストラ」のように、この絶妙な距離感のまま終わってくれれば「まったく面白くないのに大好きな映画2位」になれた。このまま終われば。

中盤から雰囲気がガラッと変わった。「ジャンルが変わった」と言った方がいいかな。

本作のジェイド・バートレット監督には、ソフィア監督のように「面白くなくていいの、美しければ」という図太さはなかったようだ。

多分だけど、バートレット監督は面白くしようとしてしまった。途中からダーク展開のスリラーになった。

いや、いいのよ。それがクリエイティブだ。エンタメだ。あのまま終わらせず、もう一展開作って、しっかり観客を楽しませて物語をたたむのが仕事だ。どちらかといえば「美しけりゃいい」のソフィア監督の方が亜流だと思う。

ただ、醜い日本のジジイが人知れず愉しんでいた「美しく絶妙なせめぎ合い」が、望まない方へ決着がついてしまっただけ。おれが悪い。

前半は「たまらん」、後半は個人的に「違う、そうじゃない」。ラストはちょっとよくわからなかったけど、ジェナの涙とエンドロールがオシャレだったから総合的に「好き」な作品。

面白くはなかった。

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