ジャンル | ラブロマンス / コメディ / ドラマ |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2024 |
公開年月日 | 2025/2/28 |
上映時間 | 139分 |
鑑賞 | 109シネマズ川崎 |
おとぎ話? ううん、現実(リアル)? いや面白コメディ
ジャケと予告を見るにどうやら苦手なキラキラ世界のラブストーリー。正直見た目は守備範囲外ではある。
今週はボブ・ディラン伝記やニコケイ新作など、観たい映画が目白押しだというのに、どういうわけか初日レイトショーにこの「アノーラ」をチョイスした。なにか匂ったのかな。
報告します。
同じようにこの類が苦手なオジサン映画ファンの皆さん、安心してください。これ、ラブストーリーじゃありませんよ!
かなりオモシロなエンタメだった。「オモシロ」は”ストーリー展開が”という意味も、”笑い”という意味も両方。好き、これ。
あらすじは、セックスワーカーでギリギリの暮らしをしていた主人公アニー(マイキー・マディソン)が、ロシアの財閥の息子イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)に見初められるが、当然ロシアの両親は猛反対して――なんて話。
こう聞けば、
「なるほどね、こうして幾多の障害や苦難を乗り越えて主人公の2人は本当の愛を掴む……そんな美しいシンデレラストーリーだな? 見えたぞ」
ってなるじゃない。
全然違った。
今考えると笑っちゃうくらいに違う。
ジャケをもう一度よく見ると、「おとぎ話? ううん、現実(リアル)」なんてキャッチコピーが小さく書かれてた。
「現実(リアル)」ともちょっと違う気がするけど、とにかく「おとぎ話」とは程遠かった。
中盤(というかかなり序盤寄り)に、「イヴァンの両親の手下」という3バカトリオが物語に介入してからグッと面白くなった。この辺から「なるほど、そういう話なんだな」と飲み込めた。
特にお気に入りは序盤も序盤、アニーが豪邸内で大暴れするシーン。あの時間、最高だったね。
「手荒なことをするな」と命じられている3バカトリオが、狂ったように暴れまくるアニーをどうにか静めようと苦労するシーン。人によっては「ちょっとしつこいな……」と思うくらい長く感じられるかもしれないが、おれは「永遠に続け」と思うくらい楽しかった。
3バカトリオとアニーとイヴァンの(延べ)5人の一挙手一投足、すべてのセリフにもれなく笑えた。
あそこでガッツリ心を掴まれたね。
このメンツだったらずっと楽しめそうだ。2時間でも3時間でもどんとこい。てな感じで。
そしてその後もテンポよくトラブルが続き、この魅力的なキャラクターたちには最後まで期待を裏切られずに笑わせ続けられた。使いっ走りみたいなポジションのイゴールがよかったね。みんな好きでしょ。
とにかく主人公アニーが魅力的。
3バカトリオも愛おしい。
下品だけど上品。
そして、クズはクズ。
ラストは本当に冷たい「現実(リアル)」に引き戻されて、胸がキュッとさせられるのもひっくるめて”良い作品”だった。2時間半弱があっという間だったよね。
カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したり、アカデミー賞も作品賞の最有力候補になっていたりもして、逆にとっつきにくい印象がついちゃうんじゃないかと心配になるくらい、超上質なご気楽ドタバタエンタメコメディ。
最近はこういうのも偉い人から評価されるんだね。偉くないオジサンからも超おすすめです。
👇 気まぐれでいいので全部押して💕

