ジャンル | ドラマ |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 1999 |
公開年月日 | 2000/4/22 |
上映時間 | 98分 |
鑑賞 | U-NEXT |
「記憶よりもずっと面白くなかった」。でも好き
久しぶりに観た。
……なんて、生易しい期間じゃない。おそらく20年以上ぶり。ビックリするほどに内容は覚えていなかった。こんな話だったっけ。
当時は「スター・ウォーズ」のリブート(つまりEP1~3)とか「マトリックス」とか、それこそ「M:I」シリーズとか。大予算の超大作がスクリーンを賑わせていた頃。「映像が美しい」「女の子が可愛い」「監督はコッポラの娘」などという柱で勝負するような地味作品など、眼中にも入っていなかった。
たぶん、初めて観たのは「ロスト・イン・トランスレーション」(ソフィア監督第2作/2003年)後だったと思う。たしか「ロストラ」のスカヨハの美しさにぶん殴られたのがきっかけだったはず。
「ロストラ」と本作「ヴァースー」を続けて観て、まだ映画の本質的な楽しみ方を知らない若き”おれ青年”は初めて知った。
――ああ、”まったく面白くないのに気持ちいい映画“って存在するんだ。
現在では「そんなのあるに決まってるだろ」って感覚だけど、当時は新鮮だった。某テレビ局が「面白くなきゃ〇〇じゃない」なんてチョーシに乗っていた時代の話だ。
そして、それから20年が経ち、映画について酸いも甘いも年齢なりに経験した”おれ老人”が、世代を超えて鑑賞した感想がこれ。
「記憶よりもずっと面白くなかった。」
なんだよこれ。この作品こんなに意味不明だったっけ。結局彼女らはなんでああなったんだっけ。「毒親」の一言で片づけるには描写が意味深すぎる。もっとなんかこう、あったんじゃないか? ジョシュ・ハートネットはなんなの。ブナの木はなんなの。
いわゆる「解釈は鑑賞者に委ねる系」ど真ん中。昔も今も、おれが「面白くない」(好き嫌いとは別軸)とする作品の第一条件だ。
モヤモヤする。
考えたくない!
ぜんっぜん面白くない!
……でも好き。
これなんだよ。こんなツンデレ感情が通用してしまうのが、おれにとってのソフィア監督。
考えたくなければ、実は考えなくていい。
ただただソフィア監督の「視界」を感じる。8mmフィルムのようなやや粗い映像と、コントラストの強弱が定まらない世界。陳腐な言い方をすれば、印象派の絵画を鑑賞している感覚に近い。たぶん本当にソフィア監督には世界がこう見えているんだろうと想像する。
そんな世界に、光を反射して白飛びするほど眩しくて美しい5姉妹がいる。その美しさをひとしきり独自の目線で炙り出した後、自殺する。意味がわからん? いいや、理由なんてなんだっていい。
「どう? これって美しくないかしら?」。これ!
ソフィア監督の基準にはストーリーの面白さも、たぶんモラルもない。美しさだけが正義。ここまで振り切れるのがソフィア監督ならではだし、ここまで振り切るとむしろエンタメな気もしてくる。
ここが、地味なアート映画が苦手な自分が「ソフィア監督は好き」と言えちゃう理由かもしれないな、と20年経った現在ならちょっと自己分析できる。
ソフィア監督作の中でも、特に映像と世界観と少女たちの美しさが際立つ作品。
裏を返せば、それくらいお話は面白くなかった。
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