遺書(ブログ)

イエスタデイ

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今日は自粛の夜長のために、久しぶりにTSUTAYAに行ってきた。
これまではなんとかアマプラ見放題でまかなってきたが、たまには新作も観たい。オンデマンドでは新作を観るのに500円かかってしまうが、TSUTAYAならば1本あたり250円で借りられる。

TSUTAYA店内は、意外と人が多いのに驚いた。
夫婦(カップル)、親子連れ。もちろん無精ひげのソロ男子や、ノーメイク・スウェット姿のソロ女子もいた。全員もれなく顔にはマスクをかけている。

緊急事態宣言前はすっかり過疎っていたTSUTAYAが一時の勢いを取り戻していた。

近年のサブスクの台頭で「もうお前ら必要ないよ」と言われていたのが「やっぱりお前は必要」と見直された気がして、他人事ながら少し嬉しくなった。

みんな考えることは同じなんだな。
ウイルスに普段の生活は奪われても、精神だけは健康でいたい。気軽に触れることができる芸術・文化である映画は、こういう時こそ大切になってくる。

いや何を言ってんだ。危険だろ。
自粛しろ。STAY HOME!

わかる。
人が多く集まる場所に行くことは危険だ。
規模が小さい? リスクは決してゼロじゃない。
世界のために、自粛して一歩も外出しないで頑張っている人がいる。不謹慎だ。俺も我慢してるんだからお前も我慢すべきだ。

わかるよ。

わかるけど、いろんな意見を聞いた上でも、おれは今日TSUTAYAに集まっている人たちを責めることはできないし、おれ自身も責められたくない。

自分も含め、
彼らは自粛のための準備をしているのだ!

この話終わり。

というわけで、借りてきたのは以下の7本。
これを3日~7日以内に観なければならない。

「イエスタデイ」

「ジュマンジ/ネクストレベル」

「IT/イット THE END」

「アルキメデスの大戦」

「ホテル・ムンバイ」

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」

「新聞記者」

毎日1本。なかなかのノルマである。
手始めに今日観たのは「イエスタデイ」だ。

いやあ、いい映画だった。殺伐とした自粛世界で、心の底からハッピーな気持ちになれた。

「誰もビートルズを知らない世界に行く物語」と聞いて、よくあるタイムスリップものだと勘違いしていたが、この作品はタイムスリップはせず「自分以外の世界中の人々からビートルズの記憶がなくなった」現代の話。

とてつもない名曲を「自分だけが知っている」現代で、主人公のミュージシャンはそれをどう生かすのか。この設定だけで酒が飲めそうだ。

ビートルズの名曲を初めて聴いた世界はどう反応するのか。
ビートルズの名曲を利用して、どうミュージシャンとしてのし上がっていくのか。
作品をパクることへの罪悪感はどこで芽生えるのか。

序盤、主人公が家族の前で初めて「Let it be」を演奏する場面で、まったく集中して聴いてくれない家族に主人公が激高して放った一言が胸に残っている。

「この曲を聴く最初の人類なんだぞ。その意味を考えてくれ!」

作品を観終えてから考えると、この一言がこの作品の背骨を表わしているように思えた。
主人公の目的はビートルズの名曲を利用することではなく、ビートルズが消えた世界にビートルズを取り戻すことだった。

終盤に、なぜかビートルズを知っていた謎の夫婦が現れて主人公に泣いて感謝を述べる場面があるのだが、そこにはジーンとしてしまった。

ラストはちょっと無理やり畳んだ感が強いが、いい終わり方だったなあ。ビートルズ作品をパクった主人公の罪悪感は最後に上手く処理している。肯定感最高。
アマプラで見放題に入ってきた頃にまた観よう。

さて、明日は韓国映画ウィークでファンになったシム・ウンギョンちゃんの邦画進出作「ブルーアワーにぶっ飛ばす」「新聞記者」を観る。

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