今年の日本シリーズがソフトバンクの無傷の4連勝で終わった。圧倒的な4連覇である。
ひたすらホークスの強さが際立った4試合だったが、ゲームセットの瞬間は「ホークス強かったなあ」という感想よりも、「ああ、今年もプロ野球が終わってしまったなあ」という寂しさが勝つ。
おれは熱狂的なハムファンだが、日本シリーズは、日ハムが出場していなくても毎年必ずテレビ観戦することにしている。ベースとして「野球が好き」というのはもちろんあるが、個人的には、今年のプロ野球の終わりを告げる”セレモニー”という意味合いが大きい。
日本シリーズの決着がつく日がプロ野球の大晦日だ。そうなると日本シリーズは紅白歌合戦みたいなもんか。今年球界で活躍した人気者たちの競演。ただしつけてはおくけど集中しては観ない。テレビ画面を視界にキープしつつ、スマホやら本やらを眺めて緩やかに過ごす。
で、カウントダウンが始まるとようやくテレビに集中する。その瞬間だけは固唾を飲んで見守る。
9回表、2アウト。代打亀井の打ち上げたセカンドフライによってカウントダウンはゼロになってしまった。しかし「ハッピーニューイヤー!」はない。陽気なクラッカーの音もない。年越しそばもない。
ただただ「野球のない冬」がやってくる。
画面の中ではしゃぐホークスナインから目をそらすように、うつろな目で天井を見上げる。そして毎年このタイミングで思い出すのだ。
「ああそうだ、パテレ、解約しなきゃな……」。
「パテレ」とは「パ・リーグTV」(以下パテレ)の略で、パ・リーグ6球団の主催試合がすべてオンタイムで観られる動画サービスのことだ。プロ野球ファンならば、知っている人も多かろう。
おれは毎年、野球の終わる10月~11月に解約し、開幕する3月(今年は6月だったが)に再加入するということを繰り返している。セコい。
しかもパテレは月単位の契約なので、月の真ん中に解約するともったいない。きっちり月末に解約し、月初に再加入する。今年は11月9日まで公式戦があったので、今月末に解約することは心に決めていた。
いやいや、最終戦以降はパテレで試合配信はないのだから(ハム戦はフェニックスリーグの試合が2試合ほど配信されたようだが)、そんなみみっちいこと言わずにさっさと解約すればいいのでは?
――そんな疑問を投げかけてくるようでは、あなたはパテレを使いこなしているとは言えない。ハム戦が配信されないこんな”お釣り”みたいな期間でも、パテレを使ってまだまだハム戦を楽しむ方法はある。それはなにか。
アーカイブである。
試合中継を主目的としているCSやDAZNなどと違い、パ・リーグが運営するパテレは試合映像ひとつひとつを会員との共有財産とし、「試合のアーカイブ化」もミッションのひとつとしている。当然その試合数は圧倒的で、パテレが発足した2012年の開幕戦から1戦残らず全ての試合を観ることができるのだ。
11月9日のハム最終戦以来おれがパテレを使って何をしていたのか、恥を忍んで告白する。
おれは夜な夜な、今年のファイターズの名試合・名シーンを、思い出せる限りアーカイブで探し、一人プレイバックしていた。スポナビを索引にして当該シーンを再生しては、結果を知っているのに「うぉおお」とか唸っていた。オタクすぎて家族や友人にはバレたくないが、結構楽しかった。
これもプロ野球の楽しみ方だ。試合ごとに“作品”として成立しており、いい作品は別にリアルタイムでなくても十分に楽しめることがよくわかる。「何勝何敗何引き分け」などという数字だけで2020年ファイターズをくくってしまってはもったいない。
ご存じのとおり今年、日本ハムファイターズは残念ながらパ・リーグ5位に終わってしまった。
しかし数年後に今年を振り返ったとき、
「2020年のハムはダメダメだったなあ。だって5位だもん」
ではあまりに寂しすぎるじゃないか。
ということで、ようやく本題。
今月おれがパテレのアーカイブで観てきた想い出の名シーンの中から、これから”個人的10シーン”をピックアップして時系列にあげていく。漏れがあるかもしれないが、自分なりには満足している。
パテレユーザーの方はぜひ、これらを観てもう一度2020年ファイターズを振り返ってもらいたい。おれのように11月解約を考えている人はあと3日だ、急げ。
たぶん、これらを見直せば思うはずだ。
2020年のファイターズは結構おもしろかった!
(続きがあるよ↓)