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ハウス・オブ・グッチ

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ジャンル スリラー / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2021
公開年月日 2022/1/14
上映時間 159分
鑑賞 アマゾンプライム

 

歌わないガガ様の本格女優っぷり

グッチ事件については、1年ほど前にたまたま見たNHKのドキュメンタリーである程度知った上での鑑賞。あのセンセーショナルな事件を描いたクライムサスペンスになるのかと思いきや、全然違った。

あの事件はあくまで「結末」とし、そこにいたるまでの「経緯」を描いた「愛憎ドラマ」といったところかな。

ドキュメンタリー番組では、人間関係がすごく複雑という印象だったが、この作品ではほぼ主人公パトリツィアの単一視点で描かれていたので、かなりわかりやすかった。

中流家庭の娘が偶然出会った王子様と恋に落ちる展開は絵本みたいなシンデレラストーリーであり、グッチの血筋を受け継ぐ者が不本意ながらも家業に巻き込まれ、頂点へとのし上がっていく様はまるで「ゴッド・ファーザー」。それだけでも面白い(不謹慎)のに、極めつけにあの事件。

事実は小説よりも奇なり。
「本当にこんな話が現実にあったのか」という驚きの展開で、2時間40分の長尺も1分たりとも飽きなかった。
(オジサン的には、雰囲気のみで脈絡なくぶち込まれる80年代のヒット曲もかなり功を奏した)

俳優陣がとにかくよかったね。

歌わないガガ様の本格女優っぷり、アル・パチーノとジャレッド・レトのトホホ親子、アダム・ドライバーのイキリとヘタレの中間演技、ジェレミー・アイアンズのイケジジイっぷり。主要人物は全員キャラが立ってた。

特にこの作品で気に入ったのは、主人公パトリツィア(ガガ)のキャラクター造形。彼女は一般的には「グッチ家を崩壊させた悪女」などと言われているが、そんな平面的な言葉では言い表せない深みをしっかり描いていた。

物語終盤(事件後)、ひとすじ涙を流しながら結婚写真にキスをするシーンにはグッと来た。

出会ってすぐ、マウリツィオが実家の運送会社に転がり込んできた頃、「(貧乏でも)僕はこのままの方が幸せなんだよ」と渋っていた彼をけしかけて、強引にここまで引っ張り上げたのは自分。あの頃は、金も名誉もなくたって心から幸せに笑い合っていた。

「あのままの方が幸せだったんだろうな」という後悔とも、「でも、あのままじゃ嫌だったんだから仕方ない」という諦めとも取れる表情が染みた。

女優レディー・ガガのファンになった。「フォリアドゥ」が楽しみ。

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