ジャンル | ドラマ |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2009 |
公開年月日 | 2009/3/20 |
上映時間 | 112分 |
鑑賞 | アマゾンプライム |
まさか本当に発揮できる時が来るなんて
個人的にはフェイバリット邦画1位と言っちゃっても差し支えないくらいの作品。DVDも所有していて何度も観ているが、このたびサブスクのサジェストに上がってきたので、ついまた観てしまった。アマプラ、タイミングいいなあ。
鑑賞録によると5回目の鑑賞とのことだが、それでも面白かった。何度観てもなぜか劣化しない。
緻密に練られたシナリオによる伏線回収が醍醐味な作品だけど、筋書きを完璧に知った上でも、なぜか飽きずに観ていられる。「これ、なんなんだろうなあ」……といつも不思議に思う。だって、似たような”伏線回収スカッと作品”でいえば「カメ止め」とか「キサラギ」とかって初見はすごく良かったけど、何度もは観ないでしょう。
個人的にだけど、これは別格なんだよな。伊坂幸太郎の創り出したファンタジーと、中村義弘監督が描く優しい世界観の相性がすこぶるいい。なんか、何か言ってるようで何も言っていない映画解説者みたいなしょうもない分析だけど、そうとしか言いようがない。なんも言えない。ごめんよ、映画解説者。
地球に巨大な隕石が迫り、あと一日で滅亡する世界で、そんな中でも店を開けているレコード店の店主が、あるレコードを指しながらつぶやく言葉。「この曲が世界を救う」。この言葉がいったいどういう意味なのか。
1975年、1982年、2009年という一見関係なさそうな3つの時代の人々の物語をランダムに並べることによって、徐々にわかってくる構成。伊坂ファンならすぐわかると思うけど、いくつかの短編が「実はつながってたー!」ってタイプね。あの独特のスカッと感を、中村監督と脚本の林民夫先生が完璧なまでに映像化してくれた。
全体の大仕掛けだけがキモだと思いがちだけど、そこは伊坂作品、一つ一つのエピソードがちゃんと面白い。それぞれの登場人物たちも魅力的で、好きになる。共感も理不尽もカタルシスもある。個人的に好きなだけかもしれないけど、伊藤淳史とか濱田岳とか多部未華子とか、キャスティングも神がかっていたと思う。
特に、森山未來演じる「正義の味方」のストーリーがよかったね。
幼い頃から父親に「正義の味方になれ」と、理不尽なまでに体を鍛え続けられてきた男が、シージャックに襲われた船で乗客たちを救う話。彼が悪者たちに立ち向かう時の言葉がよかった。
「父に感謝しています。まさか本当に発揮できる時が来るなんて」。
何度聞いても痺れちゃうね。
最後は本当にあの曲が「世界を救う」。最高だよこのストーリー。あのラスト4分間の、一気に駆け抜けるような”答え合わせ映像”が最っ高に気持ちいい。何度観ても。
5回観た上でも、まだ「面白さが劣化しない理由」を自己解析できていないから、1年後にきっとまた観る。