ジャンル | ドラマ |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2014 |
公開年月日 | 2015/2/28 |
上映時間 | 115分 |
鑑賞 | アマゾンプライム |
全員善人
悲しい出来事がない。悪人すらいない。だからサスペンスもミステリーもない。ただ「観ていてずっと気分がいい」だけの作品。いや、ディスってない。
基本的に、サイコパスとか怪物とか巨悪とかが登場して人が一人以上死ぬ映画ばかり観ているので、序盤は「あれ?これおれが観ていいやつ?」と戸惑っちゃう感じ。寿司屋でつまむガリのように、10本に1本くらい観る。
もちろん最後まで楽しく見せていただいて、土曜の午後をハッピーな気分で過ごせた。
客に暴言を吐いて店をクビになった一流シェフが、タイトルの通り”フードトラック(キッチンカー)から再起をはかる話”なんだけど、店をオープンするまでの過程が、メニュー決定や器材選び、食材調達から丁寧に描かれていて、序盤はそこがかなり興味深く見ていられた。
そこにいたるドラマもよかったね。主人公はけっこう頑固で、わがままでクセの強い人物なのに、みんな彼のために助力を惜しまない。映画的に、その中の一人から裏切りがあってトラブルになって……なんて展開もありそうなものだが、マジでない。全員善人。
オープン後も、順風満帆に店は繁盛していき、最後に主人公は名誉を取り戻す……って話。
いいや、こんなのネタバレじゃない。「最後はこうなるんだろうなあ」ってことは、最初の10分で確信できる。そんな、いい意味で安心感と安定感を感じさせてくれる作品だった、ってことが言いたい。
物語の中心となるのは、主人公と息子との関係性かな。妻との離婚によってすれ違っていた関係が、このフードトラックを一緒に盛り上げていく過程を経て、お互いの本当の気持ちや事情に気づいていく。この手の話は究極にベタだけど、同じような年代のオヤジとしては、涙腺崩壊不可避だよね。
マイアミからニューオーリンズ、オースティンを中心とした南部を舞台にしたロードムービーなので、BGMで流れるラテンジャズが常に陽気な雰囲気をキープしていたし、太陽が降り注ぐロケーションも気持ちいい。SNSをモチーフにした映像も独創的でオシャレだった。
白状すると、実はスカヨハ目当てでセレクトしたんだけど(チョイ役だった)、この作品を観る機会を作ってくれたスカーレットに感謝したい。
「世界でこのサンドしか存在しないと思え。失敗したら世界が終わる」。
この言葉はたぶん自分の余生に残る。