ジャンル | ホラー / スリラー |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2024 |
公開年月日 | 2024/8/23 |
上映時間 | 108分 |
鑑賞 | アマゾンプライムビデオ |
「残されたワシらがすべきことはなんだ」「復讐じゃ!!」
前半は王道のJホラー、後半は復讐バトルという、結果的にクセ強映画。面白かった! スカッとした。
ネタバレするよ。こんにちは、観た人。
物語中盤、家に取り憑く怨霊に家族全員を取り殺された婆ちゃんと主人公(高校生)との会話が痺れたね。
「残されたワシらがすべきことはなんだ」
「……弔うこと?」
「違う! 復讐じゃ!!」
何これ、ありそうでなかったこの展開。熱すぎるだろ!
Jホラーにおいて、霊は「逃げる」「鎮める」ものであって、「やり返す(復讐する)」ものではない。基本的には、やられればやられっぱなし。逃げ切るか、強力な霊能者が現れて「もうやらないでくれえ~」とお願いすることで、ラストにつなげる。だいたいは人道的な方法で鎮まるが、最近はバッドエンドだって頻繁にある。
それを「絶対に許さない。地獄に送ってやるんじゃ!」だ?
最高じゃないか!
Jホラーでこの胸の高鳴りは初めてかもしれない。これまでジワジワ系の良質なJホラーを観てきて、心のどこかでこうなることを望んでいたんだろうな。「こいつらに一矢報いたい」とずっと望んでいた。
「恨まれる一方じゃなくて、こっちが恨みを晴らせ!」と。
きっとホラーファンも、ホラー映画関係者も、白石監督も、みんなそう思っていたんだ。そんな、Jホラー全盛期から続く壮大なカタルシスを担った作品だと思った。
だから、霊を倒すための特訓シーンは、ややコミカルながらも拳に力が入ったな。弱気な孫(主人公)を婆ちゃんが鍛え上げる。この主人公は我々代表だ。我々ホラーファンは長い時間をかけて「霊は敵わない相手」と思い込んできたので、婆ちゃんの言葉ひとつひとつが妙に刺さる。
死んだ奴より生きているワシらの方が強いに決まっとる。
生命力を鍛えろ、たくさん食え、よく寝ろ、笑え。
怖がるな、弱みを見せるな。
命を濃くしろ!
意味があるのかないのかよくわからない太極拳のシーンや、霊に卑猥な言葉を浴びせかけて退散させるシーンなども、笑わずに「頑張れ、頑張れ」と応援した。ホラーなのに、なんだか「ロッキー」でも観ている気持ちに近かった。徐々に太極拳がサマになってくる主人公の姿を見て拍手を送りたくなった。よし、今こそやっつけてやれ!
……と盛り上がったが、霊にも実は気の毒な過去があって、最終的には「鎮める」という方向へ舵を切る。
個人的にはそこが不満だったかな。
だってコイツ、罪のない家族を全員無残な方法で殺したんだよ。そんなことで許せるか? それだけじゃない。これまで連綿と続くホラー映画のなかで、怨霊に理不尽に殺された人々の恨みを、見える形で晴らしてほしかった。怨霊が、出てきたことを後悔する姿を見たかった。彼ら(婆ちゃん&主人公)なら絶対にできた。
まあ、どうやらマンガ原作らしいから(未読)、そこは原作通りだったってことなのかな? でも「コワすぎ!」の白石監督ならそうしたいと思っていただろうし、絶対にできた。
白石監督、次こそは、これまで好き勝手やってきた怨霊を徹底的に痛めつけるような作品を期待します。
あと、あの20世紀に戻ったかのようなチープなCG、あれは今後やめてください。