ジャンル | 実録/ドラマ/クライム |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2023 |
公開年月日 | 2024/10/18(NETFLIXオリジナル) |
上映時間 | 89分 |
鑑賞 | NETFLIX |
アナケン監督の骨太実録映画
売れない女優が事務所の命令で渋々恋愛リアリティショーに出場したら、連続殺人犯とマッチングしてしまった! さて、どうなるどうなる??
――なんてコメディチックなあらすじだけど、コメディ要素は一切なかった。
「実話に基づいている」ってことは解説文で事前に知ってはいたが、ポップなジャケとスリリングな予告を観るに、もう少しエンタメにアレンジしてあるのかと思った。
その「元になった」という事件を少し調べたら、ちょっとシャレにならない事件だったんだね。通称「デートゲームキラー」。8人の殺人罪による死刑を求刑された凶悪犯だが、未解決事件含めて実際は130人も殺したとも言われている。(詳細はあまりに凄惨なので「ロドニー・アルカラ」で検索)
これはコメディなんかで茶化してはいけないやつ。「アイズ・オン・ユー」なんてふざけた邦題(原題:Woman of the Hour)と、そのオシャレなフォント! それはただちにやめたまえ。すっかり騙されたじゃないか。
今回主演を務めながら初監督としてメガホンを取った、アナケンことアナ・ケンドリックだが、そのあたりの配慮はきちんとされていて、過度なエンタメ演出は控え、殺人シーンのスプラッター描写もほぼ見られなかった。全体的な雰囲気としては、かなり骨太な「実録映画」という様相だった。
個人的には1970年代アメリカのザラついた世界観が大好きで、当時の街の雰囲気や人々のファッション、髪型などを楽しみに鑑賞し始めたものの(実際よくできていた)、内容が暗くて不穏でそれどころじゃなかったな。
蓋を開けてみれば、ひたすらキモい殺人鬼・ロドニーの凶行や、ヒロインたちに忍び寄るロドニーの影に脅えるだけの不快な作品(スリラー映画としてはいい意味での不快感)。
鑑賞後に振り返ると「主人公を含め、登場人物は誰も幸せになってないよな」と感じた。そりゃそうか。あんな悪魔にほんの少しでも関わってしまったら、その時点で不幸中の不幸。どう前向きに生きたところで深い傷は消えることはない。これがリアルなんだよな。重いよ。
アナケンさん。
今まで、ただの”歌うまコメディ女優”……なんて勝手なレッテルを貼ってすみませんでした。今日からあなたは”歌うま骨太監督”です。