斎藤佑樹のファンなので、Yahoo!ニュースに名前が上がると必ず記事を開く。
有名な選手だけに記事に取り上げられることが多く、現状や心情などが細かく把握できて、いち斎藤ファンとしてはとても助かっている。
ただしその恩恵の代償として、ファンとしては副作用もある。
Yahoo!ニュース名物、ヤフコメである。
斎藤佑樹の記事にはアンチのコメントが大量につく。
記事を書く側も、これを目的に恣意的な内容でアンチ民を誘導しているんだから当然の成り行きだ。
読まなければいいと思うんだが、怖いもの見たさでつい読みふけってはゲンナリしてしまう。もともとドMな性分なのだ。
(わずかに好意的コメントもあるので、見かけたら必ず「いいね」を押すことにしている)
アンチコメントの内容はだいたい決まっていて、こんな感じでパターン化している。
「危機感がない」「冬の風物詩」「万年勝負の年」「カイエン買えたか」「客寄せパンダ」「通用しない」「球団のえこひいき」「密約でもあるのか」「グッズの売上だけ」「立ち投げ」「甲子園でのプライドが邪魔をしている」「なぜクビにならないのか」
書いていてしんどくなる。
こんな内容のないコメントを嬉々として書いて「送信」ボタンを押している人がこんなにいるものか、と思う。
ただただその暗い情熱に驚くばかりではあるが、おれは彼らを非難するつもりはない。
プロ野球はエンターテイメントである。
好きな選手が大活躍して「よっしゃ!」と叫びたくなるような快感もあれば、嫌いな選手が失敗して「ざまあみろ」と思う快感もあっていい。
どちらも相容れないが、共通して言えることは、どちらもプロ野球を楽しんでいることだ。
後者は不健全ではあるものの、それも一つの楽しみ方だ。誰にも責める権利はない。
「斎藤佑樹」というトピックに限っても同じことが言える。
ファンが愚直に活躍を願う一方で、アンチ斎藤佑樹は、結果も出せないのにプロを続ける斎藤佑樹を、無視するではなく“苦言”を呈することでスカッとする。そして近い将来、「それ見たことか。俺の言った通りだろ」と言いたい。
どちらも「斎藤佑樹」を媒介として楽しんでいる。
ファンとアンチは表裏一体。大きな意味で全員”斎藤佑樹ファン”である。
「斎藤佑樹はなぜクビにならないのか」
もちろんいろいろ理由はあるが、その一つはこれである。
小声で応援している斎藤佑樹ファンと、声の大きいアンチ斎藤佑樹の存在だ。
斎藤のような“いるだけで盛り上がる選手”は何よりも貴重である。
「あんな奴クビにしろ」と言っている人々も、実は斎藤佑樹を支える一端を大いに担っているという皮肉な構図が見える。
だからファンにとっては耳障りなアンチの発言も、個人的には大歓迎だ。あまり聞きたくはないが、どんどん攻撃してほしい。一緒は嫌だけど、一緒に頑張ろう。
アンチの声が大きいほど記事も増え、斎藤に注目が集まり、選手寿命は伸びる。寿命が延びれば、本来の実力を出せる機会が増える。
そして近い将来、斎藤が”復活”した時に、今でこそ耳障りなアンチの声は最高のスパイスとなる。
たしかミスチルも歌ってたっけ。
アンチが増えれば増えるほど、活躍した時気持ちいいもんな。
その時こそ、見えないアンチに
「それ見たことか。俺の言った通りだろ。ざまあみろ」
と言い放ちたいという暗い情熱。
実はおれのほうが不健全なのである。
今日はYahoo!ニュースに
【日本ハム】斎藤佑樹、2回完全投球…栗山監督のメッセージに「期待より厳しさを感じました」
という記事が出た。
日本時間の今日の未明にキャンプ地のアリゾナで行われた韓国NCとの練習試合に斎藤佑樹が先発し、2回無安打と好投したというニュースだ。
早速「それ見たことか」と喜ぶとともに、今回はためらわずにヤフコメ欄に走る。
別にアンチの手の平返しが見たいわけじゃない。
斎藤が1度2度活躍したところで、アンチは決して手の平返しなどしないことをおれは知っている。
論点を強引にズラして、必ず「カイエン」だの「贔屓」だのテンプレ悪口に持っていく。
さて、今回はどのパターンかな。
もはやアンチコメントが楽しみですらある。どれどれ……
「もう一度輝いてほしい」
「ナイスピッチングでした」
「期待しています。頑張れ斎藤!」
「さらにギアを上げて頑張れ」
ヤフコメ欄を眺めて驚いた。
なんと、温かいファンの声で埋め尽くされていたのである。
アンチはほとんどいなかった。
消えたんじゃない。”黙った”のである。
おれは好意的なコメントに「いいね」をポチポチ押しながら、なぜか胸の奥には釈然としない思いが湧き上がっていた。
……アンチよ、キミらはこれしきで黙るのか。
「韓国の弱小球団相手にいい気になるな」「2イニングくらいマグレだろ」くらい言えないのか。「カイエン」は?「贔屓」は? もっと頑張れよ。
斎藤佑樹ファンなのに、これまでのヤフコメウォッチで培ったテンプレ悪口が泉のように湧き上がってくる。
自分で言って自分でゲンナリする”ドMの最終形態”である。
ファンとアンチは表裏一体だ。
斎藤佑樹の活躍は、キミらの頑張りにもかかっている。一緒に頑張ろう。一緒は嫌だけど。