シーズン中ファイターズの試合をTV観戦していたら、父親と一切口をきかない娘(14)が、ボソッと「ふぁいあ・・・」とつぶやいたことがある。
娘がおれに話しかける(?)こと自体とても珍しいことなので、あとから調べてみると、その時ちょうど打席に向かっていたファイターズの横尾俊建の登場曲が防弾少年団(BTS)の「FIRE」という曲だったことがわかった。
娘が父親(おれ)とほとんど口をきかなくなって2年ほど。バリバリ夜露死苦の反抗期である。
それでも娘がBTSのファンであることをおれは知っている。それはなぜか。
娘の部屋には、壁中にポスターやらカレンダーで埋め尽くされているからである。意外とディープなファンっぽい。よくは知らないけど。
それを知って、今年の誕生日にはソニーのウォークマンに防弾少年団のアルバムを全曲入れて贈った。カタコトの「アリガト」とともに、渾身のプレゼントは娘の机の引き出しの肥やしになっているようだが、それはまた別の話。
いま、娘が大ファン(ファンのことを「ARMY」というらしい)である、そのBTSが日本で波紋を呼んでいるという。
なにやら、過去に原爆投下が描かれたTシャツをメンバーが着用していたということが発端となって、昨日はミュージックステーションの出演が直前で見送られ、予定されていた(?)「FNS歌謡祭」や年末の「紅白歌合戦」まで白紙になってしまったとの報道が出た。
かみさんに聞いたんだが、娘は昨日のミュージックステーションを、指折り数えてかなり楽しみにしていたそうだ。それだけじゃない。毎年つまらなそうに見ていた紅白歌合戦に大好きなアーティストが出演する可能性があったと知って、娘はどう思っただろう。そう考えると親としては不憫な気持ちにはなる。
テレビ局の決定は当然だ。
国民感情を考えれば、「日本人を憎み侮辱する人間」を、日本のテレビ局が放映し、日本人が観るTV番組が笑顔で迎え入れるわけにはいかないだろう。
メンバー当人は「意味は知らなかった」と言っているようだが、知っているか知らなかったかはこの際どうでもいい。
本当に知らなくて、ただ「かっこいいから」の理由で着用していただけかも知れない。それは言わなきゃ誰もわからない。
ついでに言うなら、日本を好きか嫌いか、侮辱しているかしていないか、ひいては彼の日韓関係にまつわる思想もどうだっていい。
彼も韓国人、愛国心が強ければ、行き過ぎた嫌日思想にもなるだろう。日韓問題は根が深いので、ここでは言わない。
大事なのは、ファンをガッカリさせたこと。
これに尽きるのだよジミンくん。
過激なファンは「たかがTシャツ1枚でBTSを出演させないテレ朝◯ね」とまで叫んでいるそうだ。後半は「もう少し勉強したほうがいい」としか言えないが、前半はそのとおり。
「たかがTシャツ1枚」である。
BTSのお抱え一流スタイリストは、他にもオシャレなTシャツをたくさん持っていたろうに、敢えてなぜあれを公衆の面前で着てしまったのか。
「かっこいいから」?
あんなわかりやすい不謹慎Tシャツ、映像や写真に撮られる前に誰か止めろよ。まわりのスタッフは、なぜあれを公衆の面前で着させてしまったのか。
日本での売上はビジネスプランに入っていなかったのか?
そんなわけはない。ビジネスの理屈で言えば、本当に意図はなかった。ただのボーンヘッドである。
当人及びBTS関係者は「たかがTシャツ1枚で」どれだけの損失が出たのかを計算して枕を涙で濡らせ。
別にメンバーが日本人を恨もうが、心の中で侮辱していようが一向に構わない。
ただプロならば、どうしてもそれを着たけりゃ黙って部屋着にしとけ、と思う。
日本人への侮辱の気持ちよりも、プロ意識の低さと、それによって娘をはじめとした日本人ファンを悲しませたことを恨む。
さっき塾から帰ってきた娘に、勇気を振り絞って「防弾少年団、残念だったな」と話しかけた。
すると娘は少しだけ顔をしかめて、異次元を見つめながら、
「ベツニ」とカタコトの例のやつ。
今日も変わらずバリバリ夜露死苦な娘なので、父はある意味安心したよ。