7月2日「野村佑希の逆転サヨナラツーベース」
対ソフトバンクホークス。札幌ドーム。
1点ビハインドの9回裏。2アウト2塁3塁で若武者・野村佑希が放ったセンターフェンス直撃の逆転2点サヨナラツーベース。
ハムファンに「今年一番印象に残ったシーンは?」と聞けば、かなり多くの人がこの場面を答えるのではないか。今年2試合しかなかったファイターズのサヨナラ勝ちの1つ。
この試合は試合展開もシーソーゲームで、ひと時も目が離せない好ゲームだった。
日本一になったホークスの守護神・森唯斗に唯一負けをつけたというのも、今となっては相当価値が高い。
7月8日「序盤2回のビッグイニング」
対オリックスバファローズ。京セラドーム。
両チーム0点の2回。打者11人で一挙7点を奪う猛攻。この大量得点が最後まで効いて、マルティネスの今季初勝利をもたらした。
注目すべきはこの7得点をすべて2アウト後に取ったというところ。コントロールの冴えない先発のオリックス鈴木優が四球でランナーを貯めてしまうものの、どうにか無失点で2アウトまで持ってきた。いつものごとく残塁で終わるかと思いきや、宇佐見→中島→西川(四球)→大田泰示の数珠繋ぎ打で得点を重ね、近藤健介のド低め変態打ちスリーランでトドメ。スカッとする。
7月25日「伝説の7.25。6-0からの大逆転」
対ソフトバンクホークス。PayPayドーム。
初回に栗原の満塁ホームラン、2回に中村晃、今宮の連続タイムリーなどで6-0とされ、多くのファンが序盤で諦めかけていた試合。それでも代わった金子弌大が淡々と抑え、それに呼応するように打線もじわりじわりと追い上げた。
見どころは6-3まで迫った7回表。安打と四球、悪送球で2点差に詰め寄り、近藤の2点タイムリーで同点、中田翔の初球スリーラン(10号)で瞬く間に突き放した。一挙6点。
この伝説の7回表は、仕事で期日に間に合わなそうなときにたまに観る。「諦めるんじゃない!」と鼓舞してくれる。
8月7日「神を見たニール」
対西武ライオンズ。札幌ドーム。
先発の杉浦稔大が7イニング被安打1というパーフェクト投球を披露した試合。
ハイライトは杉浦vs.ニールという投手戦の様相を醸し始めた4回裏。打者近藤が、フルカウントでニールが自信満々に投じた低めギリギリのチェンジアップをバックスクリーン右に運んだ。
打たれた瞬間のニールの表情が忘れられない。
8月8日「渡邉諒の直球破壊」
対西武ライオンズ。札幌ドーム。
6-2、4点ビハインドで迎えた7回裏。平井、宮川を打ち込み一気に同点まで追い上げ、火消しに現れたギャレットの自慢の160kmストレートを渡邉諒が破壊した、ハムファンにとってあまりにも有名なシーン。
「ストレート投げてこいや」と挑発するかような渡邉諒と、「打てるもんなら打ってみろや」と言わんばかりに全球ストレートをぶち込むギャレットの勝負は、何度見ても震える。
全9球、この約5分間はプロ野球ファンなら至福。打たれたギャレットもあっぱれ。
9月1日「9回のマウンドに上がる上沢直之」
対楽天ゴールデンイーグルス。札幌ドーム。
大怪我から復活した上沢が、1失点完投した試合。昨年の「ハマの悪夢」(多くは語らない)の現地にいた身としては、信じられない光景だった。
右投手の全力投球を支える左ひざに致命的な怪我を負い、正直に言うと完全復活は難しいと思っていた。マウンドに戻ってきても、これまで培った技を活かした”技巧派”になってしまうかなと。それでもいいとさえ思っていた。
ところがどうだ。上沢はあの上沢のまま戻ってきた。150kmを投げ、6イニング7イニング投げる本格派エースのまま帰ってきた。そしてこの日、ついに9回を投げ切った。
相当つらいリハビリと、それを乗り越える精神力。チームメイトが活躍している姿を見て、自分の歯がゆさに落ち込んだこともあったろう。
そんな日々を(勝手に)想像すると、キルビルのテーマに乗って9回のマウンドに向かう上沢の姿に胸と目頭を熱くせずにいられない。全身鳥肌。
9月2日「中田翔打ち直し22号(23号)」
対楽天ゴールデンイーグルス。札幌ドーム。
上原健太が、楽天のエース涌井を向こうに回して、5イニング2安打無失点という完璧投球をした試合。
3回裏、中田翔が第二打席目にレフトポールの遥か上を行く「大ファール」(おれは今も納得していない)を放った。レフト外野席上段に突き刺さる「大ファール」(根に持っている)だった。放送でも「HOMERUN」というテロップが出てしまうほどの「大ファール」(しつこい)だった。
リプレイ検証を要求するも覆らず、その後も0-0のまま上原vs.涌井の投手戦が続いた。おれは大人げなくずっとモヤモヤしていた。このまま負けたらたまらんなあと憤っていた。
しかしそこはレベチの大将。次の打席で文句なしのバックスクリーンへ見事な打ち直しホームランを打ち込み、投手戦に終止符を打ってくれたのである。涌井のガックリ顔と、無表情でダイヤモンドを回る中田。スカッとしたなあ。
中田翔打ち直しの22号。いまだに納得いっていないおれは、あのホームランを「22号(23号)」と呼んでいる。
試合は9回に逆転されて負けた。
9月26日「大阪9回10回の熱すぎる攻防」
対オリックスバファローズ。京セラドーム。
3点ビハインドで迎えた9回表、清宮幸太郎のフェンス直撃3点タイムリーで追いつき延長戦に突入。その後、両チーム一歩も譲らない息詰まる攻防を繰り広げた試合。
10回表に大田泰示と鶴岡(!)の連続タイムリーで2点勝ち越し。これで決まりかとホッとしたのも束の間、10回裏西浦颯大の代打ホームランで1点差。さらにオリックス打線に火がつき2アウト2塁3塁、一打サヨナラという場面まで追い込まれた。
最終的にはハムがなんとか逃げ切ったが、どちらが勝ってもおかしくない展開だった。スカッとしたし、イラっとしたし、ハラハラしたし、歓喜したし、興奮したし感動した。
9回10回にプロ野球の楽しさが凝縮されているので、パテレユーザーならばこの2イニングだけでも再度観てほしい。ただし1時間30分以上あるので注意。
10月31日「ルーキー河野が完全未遂」
対オリックスバファローズ。札幌ドーム。
「完全未遂」とは言い過ぎだが、河野竜生が5回途中までパーフェクト投球し、最終的に6イニング3安打1失点で3勝目を挙げた試合。
キャリアのある投手ならば「5回途中まで完全」などさほど珍しいことではないかもしれないが、それがルーキーの河野ということに価値がある。
この日の河野はコントロールが抜群だった。清水の構えたグラブに、全球種がビタビタに決まっていた。普段は四球でリズムを崩すことが多い河野だが、四球さえ出さなければそうそう打たれることはないということがよくわかった。
まったく打たれる気配もなく、「本当に完全試合をやってしまうのでは?」と本気で期待してしまうほど素晴らしい投球だった。
ただ、まあそこはルーキー。5回に1本打たれてからは、6回に立て続けに2本打たれ1点失った。それでも無四球で6イニング1失点。来季に期待を膨らませるには十分なポテンシャルを感じさせてくれた。
(続きがあるよ↓)