遺書(ブログ)

伏線

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仕事中、清宮幸太郎が二軍スタートを宣言されて最初のファーム公式戦を横目で観ていた。清宮の打席は5打席中2つは力ない空振り三振、1つは当たり損ないの1塁ファールフライ、1つは当たりはよかったが併殺。最終の1打席でようやくヒットが出たものの、基本的にはまだまだだったように思う。

ある意味で安心した。今の清宮はいい具合にぶっ壊れている。

迷いからフォームが崩れ、また迷う。その悪循環に陥っている。一軍だろうが二軍だろうが打てないわけだから、今現在は本来の能力をまるで発揮できる状態にない。つまり今見えている清宮は本当の清宮ではない、という理屈だ。(※清宮ファンです)

スクラップ&ビルト。壊れてしまったら再度作り直せばいい。しかし今度は二軍で慎重に。そしてもう二度と壊れない最強打者に生まれ変わってくればいい。
いずれにせよファイターズが優勝するためには、“覚醒した清宮幸太郎”が必要条件なんだから。

さて、先日Yahoo!ニュースで「恒例!解説者12人 2021シーズン順位予想【パ・リーグ編】」なる記事を読んだ。すでに読んだという人も多いと思う。
タイトル通り、斉藤和巳・里崎智也など名だたる人気野球解説者による順位予想の開幕直前最終版だ。

それぞれの予想を表にまとめたので、特にハムファンはげんなりする予感を持って御覧いただきたい。

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覚悟していてもなかなかキツイ。
12人中実に10人が日ハムを最下位予想としている。残りの2人も5位予想。

くしくもソフトバンクの優勝予想も12人中10人である。若かりし頃、狂おしいまでに憧れたあのトレンディーエースもその一人に名を連ねている……。 言うまでもなく残りの2人は2位予想だ。

つまり巷ではソフトバンクの強さがズバ抜けていると恐れられているが、それと同じくらい日ハムの弱さもズバ抜けていると思われている。

例年ならば、いっさいの耳を塞いで「きこえないきこえなーいハムガユーショー!」と騒ぎ立てたいところだが、このコロナ禍の自粛ムードでおれも大人になってしまったんだろうか。不思議と受け入れている自分もいる。

名だたる解説者のほぼ全員が「優勝はソフトバンク、最下位は日ハム」と断じているわけだから、現状の見た目だけを見れば誰がどう見てもこういう順位付けになるということなんだろう。認めたくないが、これも現実だ。大人なんだから現実をしっかりと受け止め、最下位チームのファンとして大人しくしていよう。うん、おめでとうソフトバンク。

ってなるかコラーーーーー!!!!!!!!!

どいつもこいつも「ソフバンつえーハムよえー!」「マー君しか勝たん楽天2位!」「ロッテは若くて活きがいいぞキョータヤスダローキローキローキ!」って、そこらのファンだって同じこと言ってるわ!

きこえないきこえなーい!
ハムガユーショーハムガユーショー!

取り乱した。

そうなのだ。よく考えるとやっぱり現実なんか受け入れたくなかった。
ここから長いシーズンが始まるわけだから、最初から優勝を期待してファイターズを応援したいのだ。現実?
うるせー知らんハムガユーショ

さて。
いま非常に辛い現実を突きつけられているハムファンだが、われわれが今季を最大限に楽しむためには大きく2つのスタンスがあると思う。

1つ目は「現実を受け入れ、勝敗度外視で選手の成長を楽しむ」

もう優勝はない「without優勝」で最初から楽しむ。一切の皮肉もなく、このスタンスはすごく良いと思う。
勝ち負けは二の次三の次。純粋に選手の躍動を楽しむ。もちろん勝てば嬉しいが、負けたっていいんだ。今は未熟な若い選手たちが成長してくれればいい。大きな飛躍のためには一度屈むことが必要だ。ここで鍛えられたバネが2023年球場移転元年で必ず花開く。

何より、このスタンスのいいところは“負けてもそこまで悔しくないところ”だ。おれもオープン戦やシーズン終盤の消化試合には、はっきりこのスタンスをとる。まったくストレスなく楽しめる合理的なスタンスだと思う。

2つ目は普通に「ファイターズの優勝を願ってチームを応援する」だ。

毎試合、毎打席、拳を握り締めて応援し、勝ち負けに一喜一憂する。プロ野球本来のシンプルな楽しみ方だ。
勝てば勝つほど悲願に近づくが、負ければどんどん遠ざかる。

それだけに傷つくことは多い。その傷を自分で消化できるならばいいが、生活に支障が出てしまったり怒りを他方に向けてしまうようなストレス耐性が低い人には向いてない。

もっともポピュラーな楽しみ方なのに、天国と地獄が背中合わせという超ハードモード(特に今季は)。適度に「without優勝」への切り替えも必要となってくるだろう。

で、おれである。

「オマエはどちらなの?」と聞かれれば「ハムガユーショー!」と鳴く。つまり当然2だ。ただちょっとだけ違う。
いわば3つ目のスタンスなんだが、極マイノリティーだと思うので勘定には入れなかった。

昨年の6月、昨シーズンが始まる際に書いた記事を読んでいただいた人もいるかもしれないが、おれは今年も相変わらずこのスタンスでいく。→(野球観戦技術論「どうせハムが優勝する」

要するに「ファイターズが優勝する」と決まっていると仮定して、その結末に至る経緯を楽しむ。というスタンスだ。

大きく違うのは、2でいう「優勝を願っている」のではなく「信じている」いや「あえて信じ込む」という点にある。決して「おれはファイターズを信じてるんだぜぇ」とか「お前らは信じられないのか!?」とかいうファン度マウントではないので、そこは誤解しないでほしい。

文字通り、単なる一つの観戦技術論だ。

映画かドラマのように「結局はファイターズは優勝するんだ」とあえて思い込むことによって、あらゆる”見え方”が変わってくるということだ。

たとえば例の12人の解説者の順位予想。
普通に見たらただ悔しい。わがチームはこんな風に思われているのかと悲しく思う。

しかし、結局ファイターズが優勝すると仮定すれば、よくあるスポ根ドラマのオープニングの一場面にも見えてくる。ああ、あのパターンかと。なるほど、「弱い」という烙印を押されたチームが快進撃をするドラマだな、と感じる。ファイターズが優勝して、12人の解説者たちが苦虫を嚙み潰すラストシーンを想像すると、なんだかニヤけてこないか。そして来季、彼らはまた判を押したように、今度はファイターズを優勝チーム筆頭に挙げるのだ。いや痛快。

開幕二軍宣告された清宮幸太郎もそう。
丸3年間とてつもない期待を背負いながらも、それに応えられず、勝負の4年目に入っても今のところはその兆候すら見えない。挙句に二軍落ち……。今年ファイターズが優勝すると仮定したら、これは不自然に思えてこないか。
メタ的にいえば、シナリオ転換のトリガーに使えそうじゃないか。
……ははん、さては今年どこかで爆発するな?

絶対的エースの有原メジャー移籍も伏線。西川残留も伏線。昨季中田が本塁打王に届かなかったのも伏線。栗山監督のラストイヤーっぽさも伏線。

勝っても負けても伏線。ファインプレーも三振も全部伏線だ。大型連敗も、後の連勝のための伏線。良いことも悪いことも、すべての場面が楽しく見えてくる。
だって、どうせファイターズが優勝するんだから。

呆れた顔をしながらもここまで読んでくれた2~3人よ。
いま言いたいことはだいたいわかる。

おれは変なことを言っている。
強引だ。ちょっと付いていけない。
ただ自分を騙してるだけじゃん。
マッキーおまえは狂人か。
etc…

わかってる。

一応、自己防衛のために言っておくが、おれだって野球の神がいると本当に思っているわけじゃないし、野球に台本があると思っているわけじゃない。
あえて思い込んでいるだけだ。

思い込むことが一つの技術。一つのスタンスだということだ。
おれはプロ野球を骨の髄まで楽しむためなら自分も騙す。

おわかりの通り”狂人”と思われるリスクもあるので一切勧めるつもりはないが、興味が沸いたら是非試してほしい。本気でやればけっこう誰でもできると思う。世界が変わるよ。

さて、楽天パーク球場での開幕戦が2日後に迫っている。
おれがもし野球の神様から発注を受けた脚本家なら、初戦は四番・中田翔の活躍によってエース上沢を勝たせる
初回は視聴者に心地良い予感を植え付けて、第二回以降へ繋げたい。

もしも負けてしまったら?

言うまでもない。
それは何かの伏線だ。

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