勝利投手 阪神 馬場 (2勝0敗0S)
敗戦投手 日本ハム 杉浦 (0勝2敗11S)
セーブ 阪神 スアレス (1勝0敗18S)
今日の試合はプレイボールから心配事が相次いだ。初回、目下5連勝・5試合連続QS中と抜群の安定感を誇るエース上沢直之が炎上、さらに不可解なエラーも絡んでいきなり2失点。その裏、守備から戻った1番打者五十幡亮汰が打席に立たずに交代(追記:守備時に太ももに違和感)。3回裏には四番中田翔が内野ゴロで一塁へ駆け抜ける際、腰を押さえながら倒れて担架でベンチに運ばれる(追記:腰痛で大事を取って休養)。
まるで悪霊にでも取り憑かれているかのように、ファイターズに次々と災難が襲いかかった。
タイガース先発西勇輝は毎回のようにランナーを出すも、こちらはこちらで何物かに護られているかのように、不思議な力で要所を断ち切っていく。3回裏ノーアウト満塁のピンチも、中田の内野ゴロ(前述)の際にこぼれた1失点のみ。4回裏も5回裏もランナーを背負いながら、ファイターズはなぜか後続打者のバットが空を切る。
しかしそんな悪霊を祓ってくれたのが、初回、五十幡の代打で緊急出場した淺間大基だった。淺間はこの日5打数4安打と打ちまくり、6回2アウト1塁3塁の場面では、貴重な同点タイムリーを放った。
ファイターズ先発上沢も、初回に2失点してからは徐々に修正していき、3回以降は圧巻の投球でタイガース打線を寄せ付けなかった。初回あれだけ制球に苦しんでいた上沢が、終わってみれば7イニングまで投げ被安打2、129球にも及ぶ熱投でエースの底力を見せつけた。
6回を終わって2-2というドロースコアで終盤のリリーフ勝負へ。
タイガースは7回藤浪晋太郎、8回を馬場皐輔が好投し無失点、ファイターズは7回まで投げた上沢の後を継いだ堀瑞輝が2四球を出しつつも後続を断ち切って無失点。
息をつかせない緊迫した試合は同点のまま9回・守護神対決にもつれ込むが、9回表にマウンドに上がった杉浦稔大が先頭のサンズにいきなり二塁打を打たれた後に、代打原口文仁に痛恨のタイムリー二塁打を重ねられ失点してしまう。
その裏、防御率0.36(登板時)という絶対的守護神・スアレスから、髙濱祐仁(4回より中田に代わって出場)が安打を放つも、後が続かずゲームセット。
目下セ・リーグ首位を独走するタイガースと、パ・リーグ最下位を独走するファイターズ。“窮鼠猫を噛む”目前で負けてしまったが、最初から最後まで気を抜けない面白い試合だった。
ともかく、言うほどの戦力差はほとんど感じられなかった。明日は勝てる。
最後に、五十幡と中田は軽傷でありますように。
帰ってきたスパイダーマン・近藤健介
ファイターズは“日本一のライト”大田泰示の熱い守備が自慢のひとつだが、大明神・近藤健介の外野守備もアグレッシブで熱い。
6回裏、強打者のサンズがライトへ放った大飛球がライトスタンドへ飛んでいく。「これはいかれた」。誰もがそう思った。
サンズも、確信歩きとまではいかないが手応えアリな表情で、打球の行方を見守りながら、ゆっくり一塁方向へ歩き出す。
しかし、ライトフェンス際には打球を見上げるライト近藤。
届くのか? 届かないのか? 観戦側のわれわれにはこの時まだ判断がつかない。やがてフェンスに背をつけるように見上げる近藤がグラブを高く上げる。ジャンプ。
次の瞬間、フェンスを越えるかと思われた大飛球が近藤のグラブに収まっていた。
あの瞬間の観戦側の気持ちの動きは、GAORAのUGKこと近藤祐司氏の実況にそのまんま表れている。書き起こす。
ライトへの大きな打球になってフェンス際オッオッーゴーイング、ゴーイング!……ナットゴーンヌ!んででライト近藤がまたもフェンス際ナーイスプレーー!
2イニング連続で上沢を救っています!
(※「んでで」は慌てたUGKが噛んでいる部分)
おれは絶叫した。絶叫しながら思い出した。
近藤がかつて「スパイダーマン」と呼ばれていたことを。
そうだった。近藤は天才的な打撃が注目されやすいが、外野手としてももともとフェンスなど恐れないガッツあふれるプレーをする選手だった。
そんなことを思い出させてくれた今日のプレーに感謝するとともに、満身創痍でチームを引っ張り続ける近藤へ届くことのない警告を心で念じた。
「たのむから、二度とそんな無茶をしてくれるな」
もう誰一人、ケガで主力を失いたくないのだ。