ホークス先発スチュワート・ジュニアを筆頭に、6人の継投によって無安打無得点を達成された試合。これで後半戦開始から実に3試合連続被完封。「被完封」という慣れない言葉を使ったが、これは「完封はされた(被完封)が『完封負け』ではなかった」ということ。つまり引き分け。
調べると、無安打無失点試合を達成しながら引き分けに終わったのは史上3度目とのこと。ただ、過去2度はいずれも5回コールドゲームで、9回を戦ってのノーヒットノーラン引き分けは”史上初”らしい。
観戦中はひたすら盛り上がりもなく(0-0なので)退屈とさえ思っていたが、終わってみれば付加価値(?)もついて、ある意味で歴史の1ページを目の当たりにしたようで「今日は観戦できてよかったな」とも思える。
ファイターズの攻撃でランナーが出たのは3度の四死球のみ。いずれも2塁すら踏めずチャンスは一度もなかった。沈黙打撃陣の深刻さは、あえてここで書くこともない。1日休日を挟んで、なんとか持ち直してほしいと祈るばかりだ。
今日、この試合について書き残しておくべきは、ファイターズ投手陣の完封リレーだ。
ホークス投手陣のノーヒットノーランの衝撃に隠れてしまっているが、ファイターズ投手陣だって金メダルを3つもぶら下げたホークス打線を、見事無得点に封じ込めた。
今日は「ノーノ―を食らった」トラウマな試合ではなく「ノーノーを食らっても負けなかった」快挙の試合である。(あえてそう覚えておく)
先発バーヘイゲン。コントロールが良く、ストライク先行で勝負できた。最速153㎞のストレートがズバズバ決まり、三振と内野ゴロの山を築いた。3回までの登板だったが、バーヘイゲンはランナーさえ出さなければそうそう打たれない。次回以降の先発登板に十分期待できる内容だった。
2番手池田隆英。代わった4回にツーアウトから二塁打を打たれてしまったが、動じることなく続くデスパイネを内野ゴロに打ち取った。以降5回6回は全く危なげのない三者凡退。池田も3イニング1まわり分を1安打ときっちり抑えた。
バーヘイゲン、池田で6回まで投げ切れば、自慢の勝ちパターンで反撃待ちだ。7回堀瑞輝が2奪三振で三者凡退に抑え込めば、8回B.ロドリゲスも(先頭にヒットは打たれたものの)無失点で切り抜ける。
結局味方の反撃はなく、ノーヒットノーランが決定したあとの9回裏も守護神・杉浦稔大だ。守護神は勝ち試合を”守護(セーブ)”することだけが仕事じゃない。「チームを負けさせない」という大切なミッションが残っている。杉浦は圧倒的な投球で、先頭の今宮健太と続く代打の長谷川勇也を2者連続奪三振。最後の中村晃も初球ストレートを詰まらせライトフライ。ゲームセット。
熱くも冷たくもない。歓喜も悲嘆もない。危惧も安堵もない。面白くもつまらなくもなかった。試合終了直後は、一切の揺らぎのない凪のような”無感想”。
ただ数年後に2021年シーズンを振り返ったとき、この”無感想”だった「ノーノードロー」をふと思い出すんだろうな、とは思う。結果としてインパクトの残る試合だった。
特になし