勝利投手 日本ハム 杉浦 (2勝2敗24S)
敗戦投手 西武 平良 (2勝3敗19S)
ファイターズ加藤貴之とライオンズ渡邉勇太朗の先発でプレイボール。両投手とも初回をゼロで抑えたところで、ちょうど斎藤佑樹がファーム最終登板を迎えるということで、札幌から鎌ヶ谷に移動した(パテレ内で)。
ワンポイント全5球。最初は「楽しもう」と「佑ちゃんスマイル」の斎藤だったが、表情が徐々に崩れだし、ファーム最後の打者を三振させた(ベイスターズ乙坂選手、ありがとう)頃には頬は涙でグシャグシャになっていた。
一人を投げ切ってマウンドを下りる際、かつて斎藤に憧れて野球を始めたという清宮幸太郎との涙の抱擁が眩しかった。
ひとしきり心の中のハンカチを濡らした後、胸いっぱいにして札幌に「戻る」と、加藤が2点先取されていた。
慌ててスポナビを見ると、2回表、外崎修汰のタイムリーツーベースとその直後に戸川大輔の犠牲フライを決められたらしい。今日はこの「2点」をいかにして詰めていくかという試合。
この後加藤は立ち直り、文字通り「完璧」な投球で、7回まで投げ切った。しかしライオンズ渡邉もそれ以上に「完璧」だった。
ファイターズ打線は初対戦となる渡邉をまったく捉えられず、なんと5回までパーフェクトに抑えられる。6回に中島卓也のヒットでようやく完全試合を「阻止」するが、このランナーは得点には結びつかず。しかし7回、ついに捕まえた。
まずは近藤健介がセンターの頭を超える大きなツーベースを放つと、昨日の殊勲打・高濱祐仁がこれを帰し、1点差に詰める。そして8回、百戦錬磨の元ライオンズ守護神・増田達至から、R.ロドリゲスが起死回生の同点ホームラン。
さらにファイターズは最終回、ライオンズの絶対的守護神・平良海馬を1アウト満塁と攻め、最後は代打・西川遥輝がサヨナラ安打を放ち劇的な幕切れ。
2点を追う展開から、投手陣が味方の反撃を粘り強く待ち、打線がその粘りに応えて追いつき、最後はサヨナラ勝ち。最高のカタルシス展開で2連勝を手にした。
斎藤佑樹の勇姿と今季3度目のサヨナラ勝ち。ファイターズファンにとっては、ハンカチが大量に必要となる日になった。
代打・西川遥輝のサヨナラ打
今やライオンズの絶対的守護神として君臨する平良海馬。試合前の状態で57試合に登板し防御率は0.65、2勝2敗21ホールド19セーブと、これまでほぼ完璧な成績を残している。
しかし実は「2敗」のうち1敗は最下位のファイターズ、「全自責点4」のうち2点もファイターズと、(比較的だが)ファイターズを苦手としている。
今日、その平良を打って、ファイターズはサヨナラ勝ちを収めた。「2敗」を「3敗」にし、「全自責点4」を「5」にした。今後、平良が出てきても諦めないように、これは憶えておきたい。
最終回の「守護神対決」。まずは”先攻”の杉浦稔大が危なげなく三者凡退で切り抜ける。
続いて”後攻”の平良海馬である。
しかし、杉浦による三者凡退にプレッシャーがかかったのか、いつもの鬼のような平良ではなかった。
いきなり先頭の松本剛に死球を当てると、続く近藤健介には、1球目以外はストライクが入らず四球出塁。この瞬間から勝負はファイターズへ大きく傾いた感じがした。
ファイターズはノーアウト1塁2塁のチャンスを手にすると、四番の野村佑希に代えて送ったピンチバンターの石川亮が鮮やかな送りバントを決めた。ライオンズは次の高濱を申告敬遠し、1アウト満塁。これとない大チャンスに燃える淺間大基だったが、ギアを最大まで上げて鬼のような形相に戻った平良に、粘りも虚しく空振り三振。
2アウトとなって「ああ、ここまでか……」とネガティブな結末が頭をよぎった瞬間である。代打の西川遥輝が初球をセンター前へはじき返していた。
もちろん淺間でもよかったんだが、「西川が決めた」ってのがいい。後半戦に入り調子を取り戻しかけていた西川は、ここ数試合は調子を落とし、今日の試合ではスタメン落ちしていた。
中田翔がいなくなった。大田泰示も戻ってこない。今このチームは、近藤健介とこの西川遥輝が背骨として、後進を引っ張っていかなければならない。そういえば、中島卓也もライオンズ渡邉の「完全」を阻止する価値あるヒットを放っていた。
ヒーローインタビューでは、おれがずっと見たかった西川のドヤ顔が甦っていた。
今後も何度だって見たい表情である。