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【備忘観戦録】△今季は珍しい「追いつきドロー」立役者はミギノール(10・21 PayPayドーム)

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伊藤大海6度目の2ケタ勝利チャレンジだったが、伊藤が投げた7回までは1点の援護もなかった。ファイターズ打線は、ホークス先発マルティネスからヒットや四球で出塁は奪うものの、まずい攻めなどでどうしても得点に繋げられない。

初回は1アウトから出たランナー西川遥輝が盗塁死。2回は先頭の髙濱祐仁が安打出塁するも、その後は策なく3人連続で凡退。4回は1アウトから近藤健介が二塁打を放つも、後が続かずランナー釘付け。

最大のチャンスは5回。先頭四球で出塁した杉谷拳士を中島卓也が犠打で二塁に送り、石川亮がライト線へポテンヒット。ここで杉谷が本塁へ突っ込みタッチアウト。

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決定的な先制チャンスを逃すと、勝負の女神はホークスへと傾く。7回裏、先発・伊藤大海が90球を超えたあたりから制球が乱れ始め、先頭のデスパイネはカウントを取りに来た甘いストレートを逃さず強打。痛烈な当たりが一二塁間を抜け先頭出塁。これを中村晃が送り、代打として長谷川勇也が登場。

今季限りでの引退を決意し、最終打席としての代打出場だが、伊藤はいっさい手を抜くことはなかった。低めのコーナーを徹底的に突き、最後はチェンジアップを引っかけさせ一塁ゴロに打ち取った。長谷川の、どうにか生きてやろうというヘッドスライディングが「必殺仕事人」長谷川のプレイスタイルを象徴しているようでグッときた。

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悔しがり、ベンチでうずくまる長谷川。しかしその直後、そんな長谷川を号泣させる甲斐拓也のツーランホームランが飛び出した。

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いかれた!

と思った。今日最後となる長谷川の執念が“届かなかった”直後に、「長谷川さん、俺らがいますから安心してください」と言わんばかりのチームメイトによるホームラン。ドラマのシナリオとして美しすぎる。

今日の主役は引退の長谷川と、今日の試合を花道で飾った甲斐だ。スポーツニュースのハイライトも、新聞の見出しも決まった。逆にこれで勝たなきゃウソだ。

しかし、このドラマにはどんでん返しがあった。

2点リードのままマウンドには守護神・森唯斗が上がった。万事休す……と思われたが、この森がピリッとしなかった。

1アウトから近藤の代打で出場した大田泰示が約2ヶ月ぶりのヒット

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2アウトとされてから万波中正が四球を選んだ。これで2アウト一塁二塁のチャンス。ここで打席が回ってきたのが杉谷拳士だ。右投手の森に対して、“長打力がある”とされる右打席に入った。その選択が功を奏した。

甘く高めに入ったカットボールを狙い打ちジャストミート。打球はいい角度をつけてレフトスタンドへ一直線

劇的な逆転スリーランホームラン!!

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……とはならなかった。惜しくもフェンス直撃。しかしながら走者一掃の同点タイムリースリーベース!

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9回裏は守護神の杉浦稔大がきっちり三者凡退に切って取り、引き分けに持ち込んだ

今季20試合目の引き分けは、会心の“追いつきドロー”だった。ファイターズの引き分け試合は20試合中14試合(7割)が土壇場で追いつかれての悔しいドローで、「嬉しいドロー」というイメージはあまりない。よく「負けに等しい引き分け」なんて言われるが、今季のファイターズの引き分けは、まさしくそんなのばかりだった。

今日負けた5位ライオンズに0ゲーム差と食らいつけたし、伊藤大海の2ケタ負けも阻止できた。完全に負けを覚悟していた試合だったからこその「勝ちに等しい引き分け」。けっこう嬉しい。

特になし

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