勝利投手 日本ハム 加藤 (6勝7敗0S)
敗戦投手 ロッテ 河村 (4勝1敗0S)
栗山ファイターズのラス前。なおも最下位を脱出するには1敗もできない試合。投げては先発の加藤貴之が5イニング1安打、6回以降を継投した池田、玉井、堀、井口が無失点(計1安打のみ)で危なげない完封リレー。
打っては、淺間大基の先制ソロと渡邉諒の試合を決定づけるスリーランという2本のホームランでマリーンズを圧倒。ファイターズファンにとっては、最初から最後までストレスゼロな試合展開だった。
おかげで今日は大明神・近藤健介の”三割チャレンジ”に集中できた。
今日の試合前段階で、近藤が今シーズンを三割以上で追えるには、今日3打数3安打、もしくは明日を含めて6打数4安打を記録する必要がある。たとえば今日4打数1安打で終わったら、ほぼ望みはなくなると言っていい。
そんな崖っぷちの一打席目、近藤はライト前ヒットを決めた。
これで「.298」。俄然現実味が出てきた。おれは次の打席をテレビ画面に頭を垂れ、手を合わせながら応援する。その祈りが通じたのか、近藤は高めのストレートをジャストミート。しかしセンター正面……。祈りは通じていなかった。
再び崖っぷちに戻された。連続凡退してしまったら、限りなく赤信号に近い黄色信号が灯る。おれは初詣で購入した開運守りを握り締めながら、意味もないのに一球一球に「打ちごろ投げろ…打ちごろ投げろ…」と念じながら応援した。そして、今度はその祈りが通じた。
近藤が難しい低めの変化球(打ちごろじゃなかった)をすくい上げると、打球は近藤らしい左寄りの弾道をたどりセンターの頭を超えた。
「うっひょーーーー!」と奇声を上げるおれ。これで「.298」。三割目前である。次を打てば3割にはわずかに届かないものの、.2995と「見た目三割」(小数点4位が四捨五入されて「.300」と表示される)になる……という段階まで来た。
おれは一瞬でも「近藤健介 .300」の表示が見たくて、4打席目に今日最大の祈りを捧げた。おれはテレビの前で土下座の体勢で手を合わせ頭を垂れた。こんな感じ→(_| ̄|○)
しかし祈りも虚しく三振だった。本当にテレビ前で頭を垂れていたもので、その瞬間を見ていなかった。
テレビから「三振です」と聞こえてきた瞬間に、土下座のバランスを崩し、激しく足をつってしまった。床の上で3秒くらいのたうち回りながら、おれは痛みと無念の叫びをあげた。
これで一歩下がって「.297」。明日の最終戦は2打数2安打、もしくは猛打賞が必須になった。なかなか厳しい戦いになるが、今の近藤ならば可能だと信じる。
明日は現地。栗山監督の最終戦であるとともに、引き続き近藤の三割、西川遥輝の盗塁王(あと1つ)、そして何より伊藤大海の10勝と、今日以上に祈らなければならない件が山積みだ。
家じゅうのお守りをかき集めて、明日はマリンスタジアムに向かいたいと思う。
池田隆英の驚速クイック
今日は心から三割を望む近藤の応援にばかり目がいっていたが、6回裏からマウンドに上がった池田隆英と一塁ランナー荻野貴司との戦いが熱かったのは、強く印象に残っている。
1アウトから荻野貴司が安打出塁。荻野は現在23盗塁で、ファイターズ西川と並んで、トップへ「あと1」と迫っている。
「絶対に走りたい」ランナー荻野と、チームメイト西川のために「絶対に走らせたくない」池田の対決だ。
まず驚いたのは池田の牽制の速さ。
池田はバッターへ1球目を投げた後、忍者が手裏剣を飛ばすような目にもとまらぬ速さで一塁へ牽制。一塁手の髙濱が素早く荻野をタッチし、これが一度「アウト」と宣告されるほどのスピードだった(この後リクエストで覆ってセーフ)。
これには百戦錬磨の荻野も面食らったようだが、それでも荻野の目は果敢に二塁を睨んでいる。ベテランの荻野にとって盗塁王を取れるチャンスはそうそう来ないし、今シーズンあと何度出塁できるかもわからない。絶対に走りたい。
しかし、結果的に荻野は一塁に釘付けのまま、このイニングを終了することになる。池田は牽制も速いが、クイックモーションも驚くほど速かった。
ほとんど振りかぶらずにバッターへボールを投げ込む。そもそも投球モーションがほとんどないので、ランナーにとって物理的に盗むタイミングが皆無だ。しかも気を抜けばあの”手裏剣牽制”に襲われる。
通常クイックで投げるとコントロールが乱れるものだが、池田のクイックはしっかりストライクゾーンでバッターと勝負できていた。しかも速すぎてバッターもタイミングを取りずらいというオマケつきだ。これまで池田のクイックに注目したことがなかったが、「池田のクイックってこんなに凄かったっけ」と驚いた。
結局荻野を出塁させた後、無事に2人のバッターを打ち取り無失点。「絶対に走りたい」ランナーと「絶対に走らせたくない」ピッチャーの戦いは、池田に軍配が上がった。
なかなか面白かった。次(来年?)もこういう機会があったら注目しよう、ということで、感想をここに残しておく。