莫大な遺産を持つ資産家の父が亡くなって、主人公に相続されたのは秘密の地下室。そこには謎の老人が監禁されていた――。
という、なかなかワクワクする設定。
最初は気味悪がっていた主人公が何度か面会を重ねながら、老人の口から徐々に真実を語らせていく構成で、終盤までは面白く鑑賞させてもらった。
こういうパンドラの箱タイプのミステリーは好きなので「へえ、そんな過去があったんだ」などと素直に興味を持ちながら観られたが、真相がすべてわかったラストでは大きな声でツッコんでしまった。
おい親父! そんな大事なことは最初に言ってやれよ!
資産家の父親は主人公に地下室を相続するとともにビデオメッセージ(遺言)を残しているんだが、そこではただ一言「お前に託す」とだけ。何か言えない事情があったんだろう、それも一つの謎だくらいに思っていた。結局、真相がすべてわかった上でも、その謎だけは腑に落ちなかった。
自分の罪の重さに苛まれていた?
老人の正体を言えなかった?
いや、それは言っとこうよ。この老人を主人公に会わせれば必ずバレるんだから。結果、妻子が大変な目にあったよ? 実際に人も死んだよ?
まあね。
「それを最初に言っちゃあ物語にならないだろう」っていうのもわかるんだけどね。それはメタの都合だ。
設定もよかった、構成もよかった、雰囲気も良かった。演出もよかったし俳優も熱演してた。
ただ一つ。製作者のご都合が透けて見えたラストでがっかりした作品。