「76番目の男」が初セーブ
昨日の試合は仕事の予定と時間が重なってしまった。帰宅して、もう終わったかなとテレビ(パ・リーグTV)をつけたら、ファイターズ3点リードの9回の裏ライオンズの攻撃で、ちょうど北山亘基が外崎修汰と対峙していたところだった。つまり試合の締めくくりの場面だ。
自慢の150km超えストレートを中心に6球を投げ、空振り三振で締めくくっていた。北山のストレートは本当にすばらしい。「糸を引くような」とか「浮き上がるような」とか、使い古された表現しか思い浮かばないが、本当にそうとしか言いようがない。
この試合の最終球となる6球目は、「浮き上がる」軌道のストレートが「糸を引くように」宇佐見のミットに突き刺さった。外崎もストレートを中心にヤマを張っていただろうが、それでも虚しくバットは空を切った。実況アナウンサーが叫ぶ。
「ルーキー北山、この回は三者連続三振!」
さ、三者連続三振!?
慌てて9回裏をパテレで頭から再生した。
一人目オグレディはすべてストレートで4球三振。1球目ボールの後2球続けて空振りを奪うが、いずれもオグレディのバットはボールの下をくぐっていた。4球目は153kmストレートが内角ギリギリのコースに決まり見逃し三振。
二人目は中村剛也。ストレートに強い中村に初球でいきなり外角の最速154kmストレートを投げて空振りさせると、3球目ナックルカーブを振らせて追い込んだ。北山はキレのあるストレートの印象が強いが、このカーブも落差がすごい。ストレートにヤマを張っていたらまず打てない。
4球目に1球外したあと、5球目のストレートを空振り三振。百戦錬磨の中村もストレートを読んでいたようで、タイミングはドンピシャだった。高めのコースだったので一瞬ヒヤリとしたが、北山のストレートはその中村のバットの”上へ避けた”。
そしてラストバッター外崎に続く。もう一度最後の空振りを観て、二度目だというのに「よしゃあ!」と声が出た。サイコーキ!
「北山はドラフト8位。支配下77人中76番目の指名です」
北山が登板するたびに、実況が語るこの決まり文句もさすがに飽きた。12球団のスカウトも「そろそろもう勘弁してよぉ」と嘆いていることだろう。
ただ「76番目の男」ってフレーズはキャッチ―でいいね。個人的にはレベッカの「76th STAR」という曲が脳内再生される。この曲は、76年周期で地球に近づくハレー彗星になぞらえて、スターを夢見る女の子の気持ちを歌った曲なんだが、意外とこの歌詞が北山にピッタリとハマる。
I’m 76th no.1 ster
(レベッカ「76th STAR」より)
彗星のようにきらめくよエンジェル
ハートはno.1 ster
夢見ているのよ
「76番目の男」北山にはぜひとも今年新人王を獲って「no.1 star」として輝いてほしい。