ハイ・ライフ

最初30分間が鬼門

やっと完走できた。ここ1年ほど「頭から再生しては途中断念」を繰り返し、昨晩ようやくエンドロールまで到達した。4度目のトライだった。

いわゆるメタファー系の超地味SF。個人的にはもっとも苦手なタイプ。とにかく最初30分が鬼門だったな。

宇宙船内に主人公が赤ん坊と2人きりで生活している。いっさい説明はないので、なぜ彼がこんなことになっているのか、何をしているのか、さっぱり理解させてくれない。

「いや、映画の導入ってそういうもんでしょ」？　わかる。

わかるけど、あまりに長すぎた。ひと通り主人公の孤独な生活を眺めた後、ようやく状況説明のモノローグが入るのだが、それが開始30分後。ここまで来るのに4トライかかった。

ここまでの30分間、閉塞的な宇宙船内ではほぼ無音。生活音とBGMだか耳鳴りなんだかわからないような睡眠導入音が、わずかに聞こえる程度（あと赤ん坊の泣き声）。

結果、「眠りに落ちる→別の映画を観ちゃう→しばらく置いておく」という繰り返し。

今回はよく頑張った。
そして、鬼門をなんとか突破して最後まで観た感想としては「なんだかよくわからなかった」。

明らかに考察系。意味ありげな伏線をびっしり並べて、あとは「皆さんどう思います？」タイプ。映像はキレイで雑な感じもないので、こういうのが好きな人ならばハマると思うが、個人的には好きじゃない。いつもなら躊躇なく離脱する。

察するに、極限状態の中の「人間の生と性」を丁寧に浮き彫りにした作品っぽいが、テーマとしてもあまり興味がないせいか、いまいちピンとこなかった。

そんな作品を「なぜ離脱せずに最後まで観たのか」「そもそもなぜ4回も執着したのか」と、もしも人に聞かれたなら、たった一言こう答える。

「ミア・ゴス信者だから」。

これしかない。
「信者の使命」一本のみで、この苦痛に耐え、ようやく勝利した。

同じ思いでこの苦難をくぐり抜けた同志がいたなら、今週公開される「インフィニティプール」の劇場で、お互いを讃え合いたい思いだ。