ジャンル | ヒューマン / ドラマ |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2020 |
公開年月日 | 2020/9/25 |
上映時間 | 124分 |
鑑賞 | アマゾンプライム |
圧倒的「泣けるB」
中盤、取り乱して自らの腕に噛みつくイチカをナギサが必死で抱きしめるシーンで、「ああ、これはダメなやつだ」と確信した。
オジサンだけど引くほど泣いてしまった。いや、「無理やり泣かされた」と言ってもいい。
逃げ場がなさすぎる。どうしようもない。(一時的)保護者であるナギサにも助けられない。赤ん坊のように泣きじゃくるイチカを抱きしめるしかできない。
数年前から「絶対に泣ける」と評判を聞いていた作品なので500円払って鑑賞してみたが、こういう「泣ける」はしんどい。
物語で「泣ける」っていうのは2つある。
何かを成し遂げたり成長したり、人の温かさに触れたり気づいたりしたときの「泣けるA」と、とことん不幸で人にも運にも裏切られ(言葉を選ばずに言えば)あまりに可哀相で「泣けるB」。
「A」で感動できるのは人それぞれだが、「B」はほぼ避けられない涙だ。
この作品は圧倒的に「泣けるB」だった。
映画で泣くこと自体は気持ちいいけれど、個人的に「B」は苦手なんだよな。ズルいから。
もちろん、生き辛さを描くことで、社会問題に焦点を当てるという意義はある。観てよかったと思えるし、今後こうした問題に対する認識も強まったと思う。
ただ、おれのように「泣ける」エンタメを期待してこの作品を観るのはオススメできない。
主人公たちには、この後も「これでもか」というくらいに、製作者が用意した不幸が降りかかる。制作者に問いたい。
ナギサはあんな仕事に手を出して、あんな目に遭う必要があったのか。
イチカの親友を殺す必要はあったのか。
そして、ナギサは死ぬ必要があったのか。
オール「B」。全部もれなく泣かされた。
もはや、どれも「イチカを不幸にする道具」にしか見えなくなっていた。ズルすぎるぞ。
最後とってつけたように、バレエで成功したイチカの姿が描かれる。
せめて「よかったなあ」とは思えたが、あの程度の「A」じゃとても清算できないからな!
それでもイチカのダンスは美しかった。ダメ押しで泣いた。