ジャンル | ラブロマンス / ホラー |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2022 |
公開年月日 | 2023/2/17 |
上映時間 | 130分 |
鑑賞 | アマゾンプライム |
ちゃんと骨までいただきました
「人を喰べて生きる若者たちを描いて、世界が賛否両論」というキャッチコピーで「きっと自分好みなんだろうなあ」と直感したものの、予告編を見て、いかんせん地味っぽいので今まで置いておいた作品。
いわゆるメタファー作品だったね。別に「人喰い人種」じゃなくてもいい、「マイノリティの生き辛さを描きました」系のラブロマンス。
いや、よかったよ。
ラブストーリーは本能的に避けてしまう傾向にあるので、久しぶりに激しく惹かれ合う美男美女を観られて新鮮だった。(ティモシャラは言うまでもなく、オジサン的にはテイラー・ラッセルもすごく魅力的でした)
これが、普通に人種だとかLGBTQのいずれかを当てはめただけの作品だったら、一生観ることはなかった。トンがった設定って大事だね。
「人喰い人種」という究極のマイノリティ。これはもう、想像を絶するような孤独感と生き辛さなんだろうと想像させてくれる。
個人的には、あのキモいジジイ「サリー」に感情移入してしまった。あの年になるまでずっと一人で孤独で、なんとか自分なりの”生きる知恵”を駆使して生き抜いてきた。そして(彼にとっては)ようやく出会えた運命の人(=主人公マレン)。初めて一緒に人を喰らって幸せだった。久しぶりに会話ができて楽しかった。孤独はもう嫌だ。まだ若い彼女にもこんな孤独は味あわせたくない。自分なら彼女に生きる術を教えてあげられる。
「そうだ! 自分に出会えたキミはラッキーなんだ!」となる。
サリーの気持ちが手に取るようにわかっちゃう自分がキモい。
この親切心が、やがて「押し付け」になって「狂気」に変わっちゃうのか……なんて、ちょっと切ない気持ちになった。アプローチが最悪だったといえばそれまでなんだけど(笑)、もっと違う形なら、支え合いながら生きていく方法は絶対にあったよね。
設定の「核」となる「人喰い人種」についても、おざなりにならずちゃんと描写されていて、ホラー大好き悪趣味オジサンも飽きずに興味を持って観続けられた。
「同族が匂いでわかる」とか
「”最初”はベビーシッター」とか
「骨まで食ったことがあるやつが本物」とか
「そうやって調達するのか」とか。
全編に散りばめられた「人喰い人種」あるあるは面白かった。「喰わなくても生きていけるけど、喰わないではいられない時がある」というのだけが、ちょっとよくわからなかったけれど。(麻薬とかに近い?)
ショッキングな映像はまあまああったが、「ホラー」とか「スプラッター」と呼ぶにはやや控えめ。地味ではあったけれど、ラストを含めて好みの仕上がりだった。
ちゃんと骨までいただきました。ご馳走様です。