ジャンル | ドキュメンタリー / ホラー |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2022 |
公開年月日 | 2023/3/24 |
上映時間 | 82分 |
鑑賞 | アマゾンプライムビデオ |
ホラー映画の革命的作品
噂の「三ポル」ついに観た。
三軒茶屋に実在する心霊多発ビルに潜入し、そこで撮影に成功した心霊映像を流すという作品。
……ん? 作品?
まあいいや。たしかに、明らかに人間の手が映っているんだが、作品中では、これを見たリポーターが「出た! 心霊だ!」と騒ぐ。手が出現した箇所を探りながら「私たちずっとここにいたけど、そこには誰もいなかったよね」なんて白々しく首をかしげる(え、あなたたちが証人?)。
これが白石晃士監督のモキュメンタリーなら、「うはは、ホントだ! 出たーーー!」なんつって、手を叩きながら喜べるんだが、この作品ではそうもいかない。
作品紹介にもある通り、「※この映画の心霊映像にはCG、編集など一切手を加えておりません。」とのことだからだ。なんとこれは、正真正銘の「ドキュメンタリー」ということらしい。
かなりムズムズするけど、なるほど。了解。
「いやCGでしょう?」「いや編集でしょう?」「いやそこに人が隠れてるんでしょう?」なんて言うのは野暮って感じね。わかった、おれだってそんなことは言いたくない。ホラー映画なんだから怖ければいい。そして「本物」という前提の方が恐いよね。理屈はわかる。
ただ、向き合い方が難しい。どういう感情でどういう顔して見ていればいいのか、最後までスタンスが見いだせなかった。
プロレスを思い浮かべてみた。たぶんこれが近い。
プロレスは(団体にもよるが)基本的にシナリオ(アングル)がある。ファンも当然そのことは知っている。知っているのに絶対に口に出さない。プロレス関連メディアも絶対に書かない。なぜか。「言うことが野暮」というより、その方が圧倒的に楽しめるからだ。
この感覚はすごくわかる。プロレスファンは自らも「観客役」としてそのシナリオに飛び込むことで、憧れのレスラーたちと世界観を共有する。だからシナリオなんて存在しない。だって、外側から「作品」として観ているんじゃなく、自分もその作品世界の一員なんだから。観客参加型の作品。これはエンターテインメントの発明だよね。
ならば「三ポル」はなんなんだ。
「この”作品”の一部になりたいか?」「この”手”と世界観を共有したいか?」というところ。ちょっと難しくなかった? もうちょっと「モキュメンタリー」寄りで鼻笑しながら見てもいいのかな。それとも、プロレスみたいにあくまで「絶対本物!」と思い込んだ方がいい? ずっとこう、首を傾けながら難しい表情で観ていた気がする。
ただその昔、もしかしたらプロレスの起源もこんな感じだったのかもしれない。そう考えると、将来この「三ポル」も「ホラー映画の革命的作品」などと呼ばれる日が来るのかな。
……いや、絶対来ないな。笑