ジャンル | ファンタジー / ドラマ |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2021 |
公開年月日 | 2022/3/12 |
上映時間 | 50分 |
鑑賞 | アマゾンプライムビデオ |
「世にも奇妙な物語」の一遍として
たまたまアマプラでオススメに上がってきた作品。あらすじを読むと、「誰もが誕生日のように”死ぬ日”(日付だけで何年かはわからない)を知っている」という設定で、主人公はその日(=デスデイ)に何を感じて、どう過ごすのか、って話。なかなか面白そうだよね。尺も短そうだったので観てみた。
この世界観は満喫したし、ある程度考えさせられた。
「毎年”今日死ぬかもしれない日”を知っている」という設定はたしかに結構しんどい。毎年くるデスデイはいつどこで何が起こるかわからないから、家から出たくない。で、その日が終わりに近づくと「あと10分」「あと5分」……と時計から目が離せない。そして0時を迎えると「よかった。今年じゃなかった……」とホッと胸をなでおろす。これが毎年だ。
「死んでない~! 死んでない~! ヤッタネ!」と陽気に歌い出したくなる気持ちもすごくわかる。
また、ここからひと展開あって、主人公が今度は人生に絶望して死にたくなる。しかし、何をどう試みても死ねない。どうやら「デスデイ以外では死ねないらしい」ことが判明する。
……ん? その世界に暮らしているのに、それ知らなかったの?
まあ、普通の映画感覚で観ていたら無数の「どういうこと?」で脳内が埋め尽くされて、たぶん観ていられなくなる。せいぜい48分のショートフィルムなので、テレビ番組の「世にも奇妙な物語」の一遍だと思えば、まあいいのかなと思えた。これはディストピアSFではなくファンタジーだ。大事なのはメッセージだ。メッセージは伝わった、たぶん。
ただなあ、「面白いか」と聞かれれば、面白くはなかった。(自分のように)映画にエンタメを求める人には多分向かない。
せっかく設定はエンタメっぽいのに、監督の作家性が高くてかなり鼻につく系だった(個人の感覚です)。ひとつひとつのセリフが「普通そんなこと言わねえだろ」ってほど哲学的で、自分みたいな知性の低い人間は物語に入り込むことができなかったな。「共感してくれる人だけ共感してくれればいいよ」という冷たい壁を感じる作風だった。
監督は、どうやらCM畑の新進クリエイターってことで納得。シーン一つ一つが意味ありげで、とても丁寧に作られているのはよくわかるので、好きな人は好きかもしれない。ターゲットはおれではなかった。