ジャンル | アクション |
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製作国 | 韓国 |
製作年 | 1999 |
公開年月日 | 2024/9/13(日本初公開2000/1/22) |
上映時間 | 124分 |
鑑賞 | チネチッタ川崎 |
「今観ても色褪せない名作」
リマスター版公開の情報はずいぶん前から知っていて、今日を楽しみにしていた。チケットを予約するタイミングでなんとアマプラ見放題配信もされることも知ったが、「どういうことだよそれは」とボヤきながらも迷わず予約を完了させた。
それでもスクリーンで観たかったし、そもそもDVDは所有している。
泣けたなあ。ハンカチを出すと周りにバレそうで、眼鏡を正すフリをしながら頻繁に目を拭った。周りをよく見ると、みんな肩を震わせながら泣いてた。ちょっと自意識過剰だったみたい。
この作品はそのジャケから「メロメロな恋愛映画」と思われがちだが、実際はそんなことはない。もちろんロマンスもあるが、友情あり、アクションあり、サスペンスあり、カースタントあり、大爆発あり、まさしく全部乗せの欲張りエンタメ映画だと思う。
これは四半世紀前に劇場で観た。気に入って後日DVDも購入して、何度も観ている作品。
今でこそ韓国映画のクオリティは、ハリウッド映画に次ぐ地位(ジャンルによってはハリウッドを凌ぐ)を認められている感があるが、公開当時は正直「韓国の映画?ちゃんと作れるんかいな」という感覚だった。謎の上から目線。
ところがどっこい、だったよね。
ハンディカメラを多用したアクションシーンは新鮮だったし、俳優たちの動きも(大まか)キレがある。今や大スターだらけの主要登場人物の演技もいい。アクアリウムなどを効果的に配置して、色使いや映像も美しく仕上げてある。そして何よりシナリオがいい。
「愛し合う男女が、実は敵対する組織の人間だった!」なんて話、今どき全然珍しくないよ? でも、そこに至るまでの丁寧かつ無駄のない設定描写と巧みなミスリード、なにげない伏線の張り方が神がかっていたと思う。今思うと「やってくれたな」という感覚。
後半で、本部の情報が熱帯魚に仕込まれた盗聴器が原因だと判明するんだが、その事実一点から「熱帯魚屋の彼女が犯人だったのか」「だから彼女は熱帯魚店だったのか」「彼女はそのために主人公に近づいたのか」と、ドミノ倒しのように真実が見えてくるのが気持ちよく、同時に主人公の気持ちを想って猛烈に悲しくなった。
サスペンスミステリーの要素からお涙頂戴シーンまでちゃんと有機的に繋がっていて、取ってつけた感はなく、観客(=おれ)は不意打ちで胸をえぐられてしまう。
ほか、クライマックスとなるスタジアムのシーンの緊迫感は半端じゃなかったし、ラスト、ついに主人公と彼女が対峙する場面はあまりに切なかった。さらに次の瞬間、主人公に撃たれて血だらけで崩れ落ちるあの悲しげな表情は忘れられない。そしてあの留守電だ。
「一緒に過ごした一年が、私の人生のすべてでした」。
もうね、ここで劇場中からすすり泣きが聴こえてきたよね。エンディングの曲(「When I Dream」)も胸に切なく沁みわたり、涙腺をせき止める暇を与えてくれなかった。劇場が明るくなっても涙が引かず「エンドロールが終わるの早くね?」って思ったのはこの作品が初めてかもしれない。
こういったリマスター版のレビューで、よく「今観ても色褪せない名作」なんて陳腐な言葉を見かけるたびに、「テキトーなこと言うな!」とイラっとするんだけど、「本作こそそれだ」と思った。
本当に、今観ても、何度観ても色褪せない名作。