遺書(ブログ)

ストレンジ・ダーリン

投稿日:

ジャンル ホラー / スリラー / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2023
公開年月日 2025/7/11
上映時間 97分
鑑賞 109シネマズ川崎

単なる「出会った相手が実は殺人鬼だった!」話が面白い

これは当たりだった。もちろん「名作」とか「傑作」というつもりもなく、「面白そうだとは思っていたけど、ちゃんとそれは上回ってきた」程度。「なんだ、その程度か」と思われるかもしれないけれど、映画ファンは大体みんな、「この程度」を見つけるために「面白そう」と思った作品を片っ端から鑑賞しているところあるでしょう。

見つけた。面白かった。

これね、ストーリー自体は実はたいした話じゃないんだよ。
ネタバレなしでひとことで書くと

「出会った相手が実は殺人鬼だった!」話。
よく聞くし、よく観た気がする。

でも、この作品は一味違う。「構成の妙」っていうのかな。(今思えばだけど)ものすごく計算し尽された構成で、観客の興味をずっと惹きつけ続けてくる。あれだよ、「パルプ・フィクション」風。この表現はおっかないタランティーノ信者に怒られちゃうかもしれないけど、個人的にはこれが一番しっくりくる。

どういうことかというと、珍しいことにこの作品、初っ端から「この話は全6章からなる」と説明が入る。
「ん? なるほど、わかった。”章立て”ってことね?」と了解した次の瞬間に、

(ダダン!)「第3章 『助けてください』」

と”最初”の章タイトルが出るの。

「え?1章じゃないの?」と戸惑うと同時に、率直にいってワクワクしたよね。「ああ、なんかやってんな」と。

章が始まると、何の状況説明もなしにいきなりカーチェイス。鬼の形相で追う男と、心の底から怯えながら追われる女。男はデカいライフル銃で容赦なくバンバン撃ちまくってくるし、逃げる女はどうやら大怪我を負っている。ド頭から「いったいこれはどういうことだ?」と、疑問符が頭の上を飛びまくった。

そう。お察しの通り、これは”時系列シャッフル語り”の構成になっている。6章のうちど真ん中の「3章」から語り始めることで、何が起きているのかわからない状態から、(3章)→5章→1章→4章→2章→6章と、徐々に真相が明らかになっていく構成。

これが(今思えばだけど)、絶妙な順番で、絶妙な情報を、絶妙な見せ方で見せてくるわけ。まんまとやられた。面白かった。

でね、ついでにもう一つお察しの通り、こういう見せ方って”サプライズ“がつきものだよね。この作品も当然ある。
だから感想は実質ここまで。ちゃんと面白いから、これを読んでくれている方は「今すぐ劇場で」とはいわないので、配信見放題にきたらでいいから思い出してぜひ観てほしい。そう言い切っちゃえるくらいはオススメ。

このストレンジな構成”だけ”の作品というわけでもなく、血みどろ阿鼻叫喚な狂った世界も満喫できたし、低予算ながら映像も美しく(「赤」がアクセント)、この時代にわざわざ35mmフィルムで撮影したというこだわりも存分に感じられた(なんかエモい)。ラストの余韻もなかなか切ない気持ちになった。

「名作」とか「傑作」というつもりはないけれど、結構好きな作品だった。

これは当たり。

-遺書(ブログ)
-

Copyright© R50(仮)-アールフィフティカッコカリ- , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.