IMMACULATE 聖なる胎動

シドニーはオッ〇イ女優じゃないんだ

売店でパンフを買おうとしたら、「鬼滅の刃」のパンフが出てきた。いまシネコンは、店員さんが「イマキュレイト」と「キュメツノヤイバ」を聞き違えてしまうような”鬼滅占拠率9割”の異常事態。ロビーと売店には鬼滅待ちの若者で溢れかえっている。特に昨日は公開初日だからね。

こんな日に、わざわざ本作を観に来る人は相当な少数派だったと察せられる。個人的には「鬼滅」も観たいが、それは後回し。炭治郎や禰󠄀豆子よりも、圧倒的にシドニー（スウィーニー）が最優先だ。

このスケベジジイ！

……なんて思うかもしれないけど違うからね。

かの「恋するプリテンダー」でシドニーの圧倒的プリプリボディのイメージが強いかもしれないけど、それは誤解だ。おれは、シドニーの顔、特に困り顔、恐怖顔が大好きで、そのバリエーションを見たいがために彼女の出演作を追いかけているみたいなところがある。決してスケベじゃない。騙されるな、彼女はオッ〇イ女優なんかじゃないんだ。

だから、ゴシックな雰囲気の新作ホラーとなる本作は、封切りを指折り数えるように楽しみにしていた。そんなおれの感想……。

はい、大満足。

これはすごい。89分という短尺ながらも、基本シドニーは出ずっぱり。唯一無二の”困り顔”はデフォルトで、展開によって、悩み顔、不審顔、恐怖顔、泣き顔、怒り顔、絶叫顔などなど、彼女の”負の表情”はほぼ全て鑑賞できるお得な全部載せ。やっぱりこれだよね。シドニー・スウィーニーは、とことん絶望のどん底に突き落としてこそ本領を発揮する。ああ可哀想。たまらん。

特にラスト5分のあのシーンは見ものだったね。長い〇〇シーンは、ちょっと意味合いは違うけど「Pearl パール」ラストシーンのミア・ゴスを思い出した。
（わかってくれるかな、両方観た人）

ほんと、「THE不幸顔女優」シドニーファンとしては、ラスト1秒まで満喫できた。

あと、やっぱりあれだよね、敬虔で献身的なシスター姿をしていても、もはやプリテンダーな水着姿が透けて見えてくる。不幸顔とゴージャスボデーの絶妙なバランス感も唯一無二だよね。

あ、違うからね。

さてと。
内容はどうだったか。

ちょっと乱暴な言い方をすれば「地味ホラー」の部類かな。歴史ある修道院の内装は美しく、どのシーンも丁寧に作りこまれていてB級感は全くない。世界観は静かで厳か、時々ジャンプスケア。グロはないけど血量は意外と多い。ホラーとしては上品な仕上がりだった。

なかでも「現代の修道院で本当に”処女懐胎”の奇跡が起きたら？」というシチュエーションドラマは興味深かった。

オカルトホラーでは伝統的と言ってもいい設定ではあるものの、敬虔な信者が集まる修道院（しかも現代の）でこの奇跡が起きたらこんな感じになる、という様子にフォーカスが当たっているのは初めて観た気がする。これがとても丁寧に描かれていた。

懐妊が発覚すると、当然まずは外部での性交渉が疑われる。ただし修道院長も枢機卿（修道院で実質トップ）も信心深い（奇跡を信じたい）ので、割とあっさり疑いは晴れる。こうなってしまえば、下っ端シスターから一気に聖母扱いへ格上げ。衣装も変わって周囲から崇められるようになったり、一部では嫉妬が起きたり。何か事があれば心配して修道長が自ら飛んでくる。「噂になってしまうから外の病院には連れていけない」という理屈も妙に納得感。

キリスト教に一切知識がない自分でも十分理解できた。理解できるように作られていたと思う。この感じは、実質誰も知らなかった「コンクラーベ」の様子を細かく見せてくれた「教皇選挙」に似ている。

それから、この手のオカルトホラーにありがちな、「神と悪魔」などという概念的な着地にならなかったのも割と好きなポイントだった。決して力任せな馬鹿ホラーではなく、割と偏差値高めの上質ホラーになっていたと思う。

ただね、スクリーンは終始暗くて静かで、個人的にはシドニーが主演でなければ「退屈」のひとことで片づけてしまっていたかもしれない。見放題で観ていたら3度は値落ちしたと思う。おれはシドニーの顔ばっかり見ていたので、ホラー映画としてフラットで観ていた人の感覚はよくわからないけど、どうだった？　Filmarks評点3.3がその大まかな答えなのかな。

あれかな、もう少しシドニーのボインを強調したシーンを増やした方が、評点はもう少し上乗せできたんじゃないかな。絶対そうだ。

あ、おれは違うからね。

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