遺書(ブログ)

ディープ・カバー ~即興潜入捜査~

投稿日:

ジャンル クライム /コメディ
製作国 イギリス
製作年 2025
公開年月日 2025/6/12
上映時間 100分
鑑賞 アマゾンプライム(オリジナル)

「即興師」という設定がクライムコメディに絶妙に合う

「即興コメディアンが悪を倒す。ヒーローになれる。
お前ら今まで世間に何度拒絶された?
何度見下されて悔しい思いをした?
今日のお前らは紛れもなくヒーローだった。
世間に見せつけてやれ!」(意訳)

ボスの熱い激励からの

(ダダン!)「ディープ・カバー~即興潜入捜査~」

というタイトルコールでグッときた。開始30分も経ってた。
「今頃かよ!」とツッコみながらも、あの瞬間だけはちょっとだけ目頭に何かが込み上げたね。

潜入捜査で最も大切なのは「即興力」。うだつの上がらない即興役者3人組が潜入捜査官として警察にスカウトされるところから始まるストーリー。冒頭に挙げたボスの言葉がドストレートに示すような、「虐遇者たちの逆襲」ものは人一倍弱いんだよね。

まずキャストがいいでしょう。

即興劇の先生役にブライス・ダラス・ハワード(「ジュラシック・ワールド」と「アーガイル」!)、売れない役者役にオーランド・ブルーム(あの妖精のようなオーリーがド渋くなった!)、そしてコミュ障エンジニアのニック・モハメッド(この人知らないけど一番共感できた真の主役!)。さらに悪役にはイアン・マクシェーン(「ジョン・ウィック」シリーズのウィンストン! 好き!)もいる。

世間の評価はいまひとつっぽいけど、個人的にはクオリティがどうあろうとこのメンツだけで観ていられると確信した。売れない役者なわけないオーラがダダ漏れるオーリーの”ボケ担当”にも痺れたが、実はブラ姉の顔……というか佇まいがけっこう好みなんだよね。

大監督(ロン・ハワード)の愛娘なので、そもそも品がある。さらに、当然だけど美人。なのに、滲み出るあの愛嬌は一体なんなんだ。大きなリアクションととコミカルな表情。ドタバタコメディにピッタリ。コメディでのこのドッシリとした安定感は往年のコメディ女優ジェニファー・アニストンに通じる。おれ評価。

面白かったよ。

犯罪組織への潜入捜査なので何度もバレそうになるんだが、そのたびにスレスレの”即興芝居”で切り抜ける。役にのめりこみ過ぎて、ついついやり過ぎちゃうオーリーが最高。これにポンコツのコミュ障が大ヘマでかぶせて、慌ててリーダーのブラ姉が取り繕うという”お約束”の連続。ワンパターンなのにすべらない(個人の感想)。

緊張と緩和のバランスが抜群なんだよ。
「即興師」という設定が犯罪ものに絶妙に合う。まるで甘いとしょっぱいが互いを引き立て合う砂糖醤油。
クライムコメディ“のバランスとして理想的な”みたらし団子”だった。

そう思った。
前半までは。

そう、ここまでは”前半のみ”の感想。後半は正直やばかった。

途中からドタバタレベルが急激に上がって(ホント急激に)、上質なコメディから”ギャグマンガ“に――ハッキリ言う――「落ちた」。(個人的に理想とする)バランスが一気に崩壊していくのを見ながら、おれはもう真顔だった。そうだな、あの場面あたりからだったな。

「パトカーとチャリのドタバタ逃走劇」。あれはダメだ。そんなワケないし、ちっとも面白くなかった。

以降、開き直ったようにベタベタな「いや、そうはならんだろ!」の連発でボコボコに白けてしまった。オーリーがオモチャの拳銃を撃って「ピョ」と鳴らしたときは、真逆の意味で大笑いした。

上品なみたらし団子かと思って食べたら、なんと団子が白あんの塊だった!……みたいな「バランス崩壊コメディ」。

アマプラ限定見放題なので、ブラ姉ファンと超甘党の人限定でご賞味あれ。

-遺書(ブログ)
-

Copyright© R50(仮)-アールフィフティカッコカリ- , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.