スラッガーのホームラン
今季初の4連勝。今季初の同一カードスイープ。ニュースによると「スイープ」は2年8ヶ月ぶりだそうだ。「ええ? 去年一度くらいやってなかったっけ」と調べようとしたが、無駄なことはやめてビール(発泡酒)を飲むことにした。
まずもっとも興奮したのは6回裏、万波中正の特大ホームランだった。この時点で8-2とホークスを大きく引き離していたが、ホームラン単体としてのクオリティだけで十分価値がある。仮に負け試合だったとしても同じくらい興奮していたと思う。
角度は「ホームランの理想」といわれる35度~40度。真芯で捉えた打球は高角度で上がった割に打球速度が速く、あっという間にレフトスタンドに着弾した。余裕の上段だった。
長い滞空時間で観客がゆっくり味わえるような、いわゆる「アーチスト」の軌道とも少し違う。投手が力いっぱい投げた球を、バットで力いっぱい叩きつけたような、スラッガーのホームラン。個人的な感覚だが、万波のホームランは中田翔の弾道を思い出す。
4回裏の攻撃
あと興奮したシーンはどこだったかな。今日はたくさんありすぎて困る。そうだ、4得点した4回裏はテンションが最高潮だった時間帯だ。
まずは先頭の水野達稀、松本剛の連続ヒットから、今川優馬のスクイズ。これには意表を突かれた。
ノーアウト一塁三塁という場面でバッターは今川。1球目ボール球を見送り、2球目を極端なアッパースイングで空振り。3球目をバントの構えで一塁線へ上手く転がした。慌てるホークス内野陣を横目に、3塁ランナーは悠々とホームを踏んだ。
思惑を知ってから見直すと、2球目の大きな空振りと、ダメ押しで直前の素振りとともに「さあ外野に飛ばしたるぞぉ~」とでも言いたげな今川の遠い視線が白々しい(笑)。
この奇襲スクイズで1点を追加してもなおワンアウト2塁。ここから清宮幸太郎、野村佑希、万波中正という次世代クリンナップだ。確実性には欠けるが、破壊力と、なにより希望に溢れている。ワクワクする。
「お前らでこのランナーを還してみろ。結果は恐れるな」と、なぜかビッグボス目線で楽しめた。
清宮は死球、野村は三振に倒れた。しかし三本目の矢が見事”命中”した。
(この間奇襲ダブルスチールが成功し)ツーアウト二塁三塁。プルヒッターの万波が反対方向へ流し打った。これが右打者シフトで大きく開いていた右中間を真っ二つに割り、走者一掃の2点タイムリー三塁打となった。試合を決めた追加点。
個人的にはこういうのがたまらない。
清宮が出たら野村が続く。野村がダメでも万波が打つ。これが3人ひとくくりで「クリンナップ」と呼ばれる意味だ。チャンスでクリンナップに回ってきたら誰か一人が打てばいい。
「お前らよくやったぞ」と、ビッグボス目線で3人とも褒めてやりたかった。
杉浦、吉田、淺間、マツゴー、そして杉谷
あとは……試合を作った「杉浦稔大の尻上がりの好投」をはじめとして、「吉田輝星の9球勝負」「淺間大基の”大師匠早く帰ってきてください打法”」「マツゴー猛打賞」「無安打杉谷拳士のお立ち台」など、記憶に残すべきシーンが泉のように沸いてきたが、すべてに触れられそうにない。
今日も少し飲み過ぎた。明日は休肝日だ。