| ジャンル | コメディ / スリラー / ドラマ |
|---|---|
| 製作国 | アメリカ=ドイツ |
| 製作年 | 2025 |
| 公開年月日 | 2025/9/19 |
| 上映時間 | 102分 |
| 鑑賞 | TOHOシネマズ川崎 |
「絵画が動いて喋ったらこんな感じなんだろうな」という世界観
スカヨハはチョイ役だったが、まあそれは想定内。そして、構図と色彩にとことんこだわった(というか「執着した」)”画ヅラ重視”の世界観も想定内。
1シーン1シーンがそれぞれ”独立した作品”と言っちゃってもいいほど美しい、いわゆる「動く絵画」のスライドショー。ストーリーは、絵画の並び順で適当につけたんじゃないかなってくらい意味不明。いや、いいんだよ。これは「ウェス・アンダーソン展」だから。”美術館の企画展”だと思えば、めちゃくちゃ満足できる内容。
けっこう美術館に行くことが好きで、知らないアーティストのよくわからない個展なんかも抵抗なく行っちゃうタイプのオッサンなんだけど(入館料けっこう高いよ。企画によっては映画並)、一通り鑑賞して作品を気にいると必ず、さらに3000円ほど出して目録を買って帰る。
今回も帰りにパンフを買った。
結論から言うと、つまり「気に入った」。
物語はね、割と集中して観ていたつもりだったんだけど、正直さっぱりわからなかった。ザ・ザ・コルダ(デル・トロ)とその娘リーズルによるロードムービーという構造はわかったが、彼らは何のために世界中(?)を駆けずり回っているのか、どこを目指しているのか、なぜあんなに殺されかけるのか(笑)、臨死体験で出てくるモノクロ世界のアイツらは何なのか、章が終わるたびに減っていく数字はなんなのか、誰が兄弟なのか親戚なのか。全然理解させてもらえないまま、シーンだけが次々と切り替わっていく感覚。あまりについていけないから「おれって頭悪いのかな」と落ち込んだ。けっこうちゃんと観てたよ?
でもね、途中からは「この作品はこれでいいんだ」と割り切れた。徹底してシンメトリーにこだわった構図、美しい建造物や美しい景色。大量の字幕なんか追ってたらむしろもったいない。それらを背景に、絵みたいに表情のない登場人物たちが、人形劇の人形みたいな動きで動きまわって、ロボットみたいに早口で喋る。
ようするに絵画なんだよ、これ。
喋ってる内容は実はそんなに重要じゃない。
前作「アステロイド・シティ」のときも同じような感覚になったけど、「絵画が動いて喋ったらこんな感じなんだろうな」という世界観。
ウェス・アンダーソンというアーティストが描きたい画を並べて、その順番でストーリーを何となくつけたって感じ。あれ? さっき同じこと言った?
意味なんてわかってもわからなくてもいい。シーンごとに「ほぉ~ん」「はぁ~ん」とか唸っていればいい。美術館って大体こんな感覚じゃない?
とにかく、これらを大画面で眺めているだけで、”個展”の元は取れた。十分楽しめた。
キャラクターで言えば、娘のリーズルがよかったよね。演じるのはミア・スレアプレトン。初見だけど、リーズル役がめちゃくちゃ合ってた。
ええっ?ケイト・ウィンスレットの実娘なの!? (wikiより)
敬虔な修道女で、5歳の頃からずっと(21歳まで)修道院暮らし。6年ぶりに会ったという父親との旅はさぞ驚くことばかりだったろうに、徹底して無表情。莫大な財産を受け継げるのに、ことあるごとに「修道院に帰りたい」と訴える無欲で純粋な女の子が、徐々に酒や物欲に目覚めていく感じが可愛かった。純白の修道服とちょっと濃い目のメイク、品なく宝石が散りばめられたゴージャスな咥えパイプとのギャップがいいね。
すごく画になってた。なんならデル・トロを食ってた。
これから出てくるだろうから、しっかり名前を覚えておこう。ミアスプ、スプレア……スプ、スレアレプ……スレアレトン。
ミア・スレアプレトン。覚えにくい。
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