フランケンシュタイン（2025）

ジャンル	ホラー / ヒューマン / ドラマ
製作国	アメリカ
製作年	2025
公開年月日	2025/10/24
上映時間	149分
鑑賞	キネカ大森

ホラーの古典を現代の映像で観られる贅沢な作品

数週後にはネトフリ配信されると知っていても、ミア・ゴスをスマホの待受けにしている敬虔なミアゴシストなおれは（心の）正装して劇場に行ってきた。

本作はメアリー・シェリー原作の「フランケンシュタイン」を元にしたストーリーということで、1931年のモノクロ映画も事前に観たし、原作も（チャットGPTに要約してもらったものを）読んだ。我ながら予習は万全な体勢で観た。

寝た。

いやあ、いい意味で眠くなるね、ギレルモ・デル・トロが作り込む19世紀の世界観。豪華なのに地味で、醜いのに美しい、事件は起こり続けているのに静か。この世界観に入り込めば入り込むほど、後頭部からアルファ波が放出されてフッとブラックアウトしてしまう。最初から最後までその繰り返し。大人なのに不甲斐ない。でも気持ちいい。

それでもえらいもんで、話についていけないことは一切なかった。「ヴィクターは語る」「怪物は語る」という2章にきっちり分けられていて、複層的な物語をもれなく描写してくれていた。もちろん、予習によって大まかなオリジナルストーリーが頭に入っていたのも大きいと思う。ある程度のアドバンテージを持って、主人公ヴィクターや怪物、ヒロインのエリザベスの気持ちに寄り添えた。

ヴィクター「よっしゃ命を創ることに成功したぜ！ ……あ、でもこの後のことを考えてなかったわ。やば、どうしよう」

怪物「みんなが俺を攻撃してくるのは辛いよ。死にたいけど死ねないんだよ！ヴィクターどうにかしてくれよ！」

エリザベス「怪物ちゃんをいじめたら可哀想。……っていうかさ、怪物ちゃんをよく見なよ。ピュアで可愛いわよ」

ざっくりいうと、そういう話。
根底のテーマとしては「職業倫理」と「ルッキズム」ってことになるのかね。

「真実を追求するっていっても、超えてはならない一線はあるんだよ」「人を見た目で判断してはいけない」なんて、こんなストレートに言われても、モラルまみれな現代に生きる我々としては耳にタコで、さすがにあまり響くことはないよね。「そりゃそうだ」と肯定するしかない。そりゃそうだ。

まあね、19世紀初頭に書かれた原作小説に割と忠実になぞらえているらしいので、そこはいいんだよ。古典なんだからこんなもんでしょう。それに冒頭でも語った通り、おれにとってこの作品の価値はハッキリ言ってそこじゃない。そう。

おれはミアゴシストなのである。

いるかどうかわからないけど、これを観たゴシストの同志よ。どうだった？　正直、物足りなくなかった？

キャスト順3番手の主要キャラクター。
物語のキーとなる正真正銘ヒロインのエリザベス役。
なんだけど、出番はあまり多くなかった気がする。149分の長尺なのに、どうだろう、出番を一箇所に集めたら30分もなかったんじゃないかな。

まあ出番の少なさに関しては（ゴシストのただのわがままなので）目をつむるとして、エリザベスのキャラもマッチしているとは言いがたくなかった？

気高くて、優しくて、聡明で、気品溢れる自立した女性。

いや、ミアのまた違った一面が見られたし、「こんな役だって私できちゃうのよ」というポテンシャルを確認できたという意味では嬉しいんだけど、なんていうかな。うーん、うまくいえない。ふつう？

クセがない。悪く言えば「切って貼り付けたような正しい人」。
この役だったら、ミアのような個性派ではなく、もっと正統派美女（マーガレット・クアリーみたいな）のほうが適任だったんじゃないかと思えちゃう。本当はとんでもないカーブが投げられるのに、終始ゆるいストレートで勝負している不気味な感じ。毎度野球のたとえでごめんなさい。

ずっとこの作品を楽しみにしてきたミアゴシストとしては、ちょっとその辺りがね、不満といえば不満だったかも。

それでも作品としてはよかったと思うよ。まだ確認してないけど、評価もきっと高いでしょう。さすがのギレルモ監督による映像のクオリティはめちゃくちゃ高く、「フランケンシュタイン」というホラーの古典を現代の映像で観られる贅沢な作品だった。

ネトフリも、年末にかけては「ストレンジャー・シングス」最終章とか、「ナイブズ・アウト」新作とか話題作が目白押しなので、期間限定加入ついでに観る分には超絶おすすめ。鉄板です。

配信開始されたら、多分もう一回観ると思う。

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