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ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私

投稿日:

ジャンル ホラー
製作国 アメリカ
製作年 2018
公開年月日 未公開
上映時間 102分
鑑賞 アマゾンプライムビデオ

ホラー展開の妄想症に悩む私

まずは邦題から処理しておいたほうがいいか。
ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」……。

こらーっ!遊びすぎだ!

このジャケ、そして「ザ・スタンド」のロゴフォント。完全に「ジョジョ」的なナニかと匂わせようとしているだろう。「ゴゴゴゴゴ…」じゃねえのよ。

そして副題! やい「連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」! ラノベ風にしてポップさを打ち出すのは別にいいんだけど、これ本当に効果あるのか? このくそ長いタイトルを読んで「観たい!」と心動かされちゃうようなヤツが日本にいるのかよ? いた!

おれだ。

まんまとね、ジャケとタイトルにつられて再生してしまったよ。そりゃこのタイトルから地雷臭はプンプン感じたよ。でもほら、アマプラ見放題だから。面白くなければ途中で離脱すればいいじゃない。「気になったら即再生」がサブスク時代の新常識。気軽に行こうよ、気軽に。

「いつでも離脱してやろう」そんなライトな気分で観始めたわけなんだけど、これがね、最後まで観ちゃったんだよ。休むことなくぶっ通しで102分。

配給会社のアホなジャケ遊びで、作品の格を2つも3つも落としている気がするけど、なかなかいいよコレ。期待よりずっと面白かった。見た目とは真逆の本格派スラッシャースリラーホラーだった。ちなみにジャケから漂うコメディ要素は一切ない。

設定がいいんだよ。

「世間を震撼させたシリアルキラー【雨の切り裂き魔】は実は彼氏だった!」

……という、普通ならそれだけで1本作っちゃいそうなプロットの、”その後”の物語。

凄惨な事件のいわゆる”サバイバー“であり、同時に”無意識の共犯者”(犯行を黙殺してきたという意味で)でもあった主人公は、深いトラウマを刻みつけられた。事件後は、助けることのできなかった被害者たちへの罪悪感から、ひどい幻覚に悩まされていた。かなりシリアス。

そんな彼女が社会復帰の一歩として、安給料の24時間ガソリン・スタンドのバイトを始めた――という場面から始まる。何度も言うようだけどおフザケなし。

このね、「幻覚を見る」っていうのがミソなんだよ。

この幻覚がめちゃくちゃリアルで、本当に目の前で殺人鬼(=収監されているはずの元彼)が突然現れて襲いかかってくる場面を何度も”見て”しまうの。

初っ端からこれをやられると、我々観客としては、どれが現実でどれが幻覚なのか見分けがつかなくなる。このフリがけっこう効いてたよね。

だって、このフリを活かせば、この後どんな展開にだって行けるじゃない。誰かが死んでも「それは幻覚」。いやいや、幻覚と思わせて「現実」だったり。そもそも全部「夢だった」でもOK。何でもあり。

ホラーを始めとしてこれまで多くの作品を鑑賞してきた経験から、あらゆるパターンが脳内にズラリと並ぶ。

「これは幻覚だろう」
「この犯人はアイツと見せかけてコイツだろう」
「なんでお前そこにいるの?怪しいぞ」
「そいつ、実は存在しないんだろう?」。

特に個人的に最近観た「ハイテンション」(2003)パターン(犯人は自分)は、かなり色濃く感じたよね。

正直ズルいプロットではあるけれど、意外とこの無限の展開読みは楽しかった。実際、先が気になって止められなかった。

結局ね、言っちゃうと、全部おれの深読みだったんだけどね。

「”これ”は幻覚じゃなかった」し
「犯人はコイツじゃなくて普通にアイツだった」し
「怪しい”お前”も犯人じゃなかった」し、
「”そいつ”はしっかり存在していた」し、
個人的に本命だった「ハイテンション」パターンでもなかった。
全部「裏の裏」をかかれた……。(つまり表)

これが狙いなら「まんまとやられた!」ってことになるんだろうけど、仮にそうだとしても、個人的には率直にガッカリオチだったな。多分この場合は「予想通り」のほうが鑑賞後感は良かったんじゃないかと思う。この落差がFilmarks評価「★3.0」に表れているんじゃないかと感じた。

ただね、スプラッターホラーとしてのクオリティは決して低くなかったし、いい意味で王道だった。映像はちゃんと怖かったし、意外とグロかった。実際、最後のオチまではワクワクしながら楽しめたのも事実。

なので、「このフザけた邦題から想像するような”C級ゴミホラー“では決してないよ!」と世間に伝える義務があるような気がして、今回、筆を執った次第であります。

すべては深読みしすぎたおれが悪い。考えすぎは禁物。王道ホラーは素直に楽しむべし。

「ホラー展開の妄想症に悩む私」からの忠告でした。

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