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ハイテンション 4K

投稿日:

ジャンル ホラー / ドラマ
製作国 フランス
製作年 2003
公開年月日 2006/8/26(4Kリマスター 2025/6/6)
上映時間 91分
鑑賞 ムービル横浜

危機に直面した彼女が最初にやったは「ベッドメイク」だった

ずっと観たいと思っていた「ハイテンション」。配信で探しても見当たらず、すっかり諦めかけていた頃に「4Kリマスター版」として劇場公開されるということを知り「ああ、これはチャンスだ」と思ってはいた。思ってはいたが、なかなか劇場まで行く時間が見つからず(ややテリトリー外の劇場)、昨日ようやく行けた。ついにおれは「ハイテンション」を観た。文字通りテンション上がったね、これ。

エクストリームホラー」と銘打たれたこの作品。しかも「フランス製」ってことで、あの「マーターズ」みたいな(あれはヒドかったね)、もうなんていうか、理不尽なだけの、ゴア描写とストレスだけがウリのグロ映画だと決めてかかっていた。別にそれでもよかったし、実際その覚悟で観た。

ところが、その予測はいい意味で裏切られたよね。

グロ描写は思っていたほどじゃない(ただし血量は多め)。むしろ、エクストリームな描写ではなく、ちゃんと「構成」というか「スリラーの質」というか「ホラー展開」というか、うまく言えないんだけど、総じて「シナリオ」って言っちゃうか?……「シナリオ」で勝負しているホラーだと思った。世にはびこるC級”悪趣味ホラー“ように、「どうだキモいだろ!ビックリするだろ!」と、こちらにストレスだけをかけてくるようなものではなく、しっかりエンタメだった。

この(いい意味での)裏切られ方は、「ホステル」を初めて観たときに似ている。面白かった。

序盤はよくあるホームインベージョン(家宅侵入)もの。

舞台はホームステイ先の親友の実家。深夜に狂った殺人鬼がやって来ところで、「はいはい、ここから親友家族が理不尽に惨殺されて、血と肉片のカーニバルなんでしょ?」と”読めた”。そんで、そのあと主人公と殺人者との壮絶な”鬼ごっこ”が繰り広げられるわけだな……と骨組みまでハッキリと”見えた”。

――つもりでいた。

しかし何かが違う。親友の家族は案の定殺され、親友本人は(おそらくレイプ目的で)拉致られてしまった。その状況に気づいた主人公がまずやったのが、なんと「いま自分が寝ていたベッドをきれいに整えること」だった。「いや、まずそこ?」と思いつつ、さらに洗面台やバスタブの水滴を拭き取った。そう、この時点ではまだ、主人公の存在は殺人鬼に気づかれていない。だから、彼女はまず「自分の痕跡を消した」んである! それから隠れた。めちゃくちゃ冷静。

なるほど、ここから繰り広げられるのは「鬼ごっこ」じゃない。「かくれんぼ」だった! ”鬼ごっこ”と”かくれんぼ”は「スリルの質」が全然違う。これに気づいてからは、監督の意図するハラハラドキドキに一気に引き込まれたね。

さらに、そんな絶望的な状況の中で、自分だけ逃げるチャンスなら何度もあったというのに、主人公は決してそちらを選ぼうとしない。ただただ捕らえられた親友を助けようと画策するという展開も好きだった。勇気を振り絞って、目前の危機に向き合う姿に胸が熱くなったし、途中から彼女はもう、ただの「怖がる人」じゃなくなっていた。逆に、逃げるどころか、犯人を追ってフォードをブッ飛ばすシーン、あれにはテンション爆上がりだったね。

そして血で血を洗うようなラストバトルだ。劇場の暗闇で「いけ!」「やれ!」「いまだ!」「危ない!」「そこだ!」「よっしゃあ!」ってつぶやいていたと思う。両手は握りこぶし。やっぱり強い女性がクソ野郎をぶちのめす展開って最高。めちゃくちゃ興奮したスカッとした

…………。

……からの、あの「どんでん返し」だ。

まるで、これまでのこっちの”ハイテンション”をすべて否定するかのような、かなり荒っぽい「ちゃぶ台返し」と言ってもいい。鑑賞後いくつか考察サイトを読ませてもらったが、やはりここに関しては賛否両論あるらしい。

でもどうだろう。個人的には「それはそれで良い”味変”になった」とポジティブに考えられるレベルかな、と思った。「ずるいな」とは思ったけど、不思議と腹は立たない。むしろ、ラストに投入されるスパイスとしてちょうど良かった……というか、例えるなら、豚骨ラーメンの最後に辛子高菜をこれでもかってぶち込んで、辛さと風味の爆発を楽しむあの感覚?

帰りに実際豚骨ラーメンを食ったからこういう喩えになってしまったけれど、我ながら言い得て妙だと思っている。

替え玉までしっかり平らげた後、トッピングの辛子高菜で真っ赤に染まった残スープは、なぜか血の味がした。そんな作品だった。

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