遺書(ブログ)

おれは今日、白井一幸に会った。

更新日:

いまファイターズの「背番号3」といえば、先日、今季限りの引退を発表した田中賢介を誰もが一番に思い浮かべると思うが、おれにとって実は”二番目”である。
おれがファイターズを好きになった30年ほど前も、ファイターズのセカンドには「背番号3」はいた。

白井一幸だ。

ファイターズファンになって多分最初の、おれのヒーローである。

堅実な守備と俊足、両打ちの技巧派ながら、シーズン2桁HRを打つパンチ力もあった。そして何より甘いマスク。当時は「二遊間の小室哲哉」なんて呼ばれていた。いや、個人的におれが呼んでいた。

おれは高校時代、ファミスタでフーズフーズの「しらい」のファンになり、それ以来「白井一幸」と彼が属したファイターズを追い続けている。

白井一幸はファイターズを好きになったきっかけであり、30年の時を超えてなお、当時を思い浮かべると涙が滲んでしまうほどのフィールド・オブ・ドリームスである。

すっかりファイターズに染まり、現在ダルビッシュや大谷翔平を”ウチの選手”顔で一喜一憂できるのも、ひいては彼のおかげだと思っている。

おれにとって、憧れと感謝を足して100倍した名選手。
それが白井一幸という男である。

その事実を踏まえた上で、次の一文を読んでほしい。

おれは今日、白井一幸に会った。

57歳になった今もカッコいい。

北千住で開催された「 白井一幸トークライブ」に参加してきたのである。

世間は今日、嵐の活動休止報道に揺れているようだが、おれにとっての今日1月27日は、大切な「白井一幸記念日」として刻まれることになった。

いや、大げさじゃない。
ステージに白井氏が登場した瞬間、涙をこらえて目を細めたおれは、まさしくケビン・コスナーのようなイケメン顔になっていたと思う。
憧れの名選手たちがトウモロコシ畑の間からワラワラと現れたあのシーン。あれと同じだ。

映画『フィールド・オブ・ドリームス』の名シーン。

公開当時、若かりしおれにはよくわからなかったが、今ではケビンの気持ちがハッキリとわかる。

さて。
トークショーの内容は非常に面白く、会場は何度も笑いに包まれた。
あの名選手は、今では確かなトーク力を持ち北海道のファイターズファンには知らない人はいない”ファイターズの語り部”である。

大谷翔平の裏話から、専門であるコーチングの話題、そしてファイターズの来季展望など、大いに語ってくれた。

ただし、この時間を楽しむ気持ちより、個人的には”あの白井一幸と時間を共有している”という感激が強すぎて、詳細な内容はよく覚えていないというのが本音である。

しかし自らの備忘のために、なんとか思い出せる限りを以下に記しておく。

●大谷はメジャーでもベンチでゴミ拾いをする。世界一の選手を目指す大谷にとっては、ゴミではなく「運を拾っている」。
●吉田輝星の現時点での完成度はダルや大谷より高い。早いうちに活躍できる。
●サードは近藤。セカンドは横尾がいい。実は横尾は守備がうまい。ただ守備範囲は狭い。
●外野は西川と王柏融と大田泰示。ここに松本剛や淺間が挑んでいく形。
●DHとファーストは中田と清宮の併用で。
●うまくいけば、昨年の西武と同じくらい破壊力のある打線。
●本音を言うと、昨年のファイターズはAクラスに入れる戦力じゃなかった。リーグ優勝、日本一を奪回するための準備の年だった。準備しながらチームをリーグ3位に食い込ませた栗山監督はすごい。
●ファイターズは間違いなく優勝する!
●田中賢介のラストイヤーに、もう一度リーグ優勝と日本一を味あわせてほしい。
●実は栗山監督とは同期。現役時代は「栗ちゃん」「カズ」と呼び合う仲だったが、監督とコーチの間柄になってからはとても「栗ちゃん」などと呼べなくなった。でも栗山監督は相変わらず「カズ」と呼ぶ(笑)。
●清宮はフルシーズン出場すればホームラン30本は期待できる。
●大谷は今年は打者専念ということで、30HR30盗塁は期待できる。実は西川よりも足が速い。
●中田翔は白井氏のことを「白井っち」と呼ぶ。
●杉谷は野球選手のシーズンオフがシーズン(笑)。
●杉谷は出場してもしなくても、ベンチで一生懸命に声を出して応援する。勝つチームにはいなくてはならない選手。
●今は想像もつかないことだが、田中賢介は若い頃は中田や西川なんかよりも反抗的で、手のかかる選手だった。
●オープナー構想。栗山監督ならやるかも知れない。開幕オリックス三連戦すべて金子先発(1イニング)なんて面白いでしょ。

(順不同/思い出した順)

書き出してみると、意外と覚えていて驚いた。
ただし今思い出さなければ、きっとすべて消え去っていただろう記憶だ。書いておいてよかった。

盛り上がったトークも終わり、最後はお待ちかねの抽選会だ。

白井氏が実際に着用した歴代のユニホームや、ファイターズの選手から集めてきたお宝、そしてツムラの入浴剤。

ざっと数えただけでも30人が当選する。
入浴剤だとしても決して「ハズレ」じゃない。賞品を受け取る際、白井氏と握手ができる。
今日の来場者が約300人とのことだから、約10分の1の確率だ。これってけっこう凄くないか?

そのなかでもおれが鼻血が出そうなほど興奮したのが、大谷翔平のサインボールだ。

しかし本当におれが興奮したのは、サインボール自体ではない。
どうやら会場に持ってくるのを忘れたようで、当選者には後日、白井氏から送るとのことだ。

このオプション!

最初に書いたように、白井一幸はおれにとって特別な選手である。その白井氏から、荷物が直接おれに届くとは!

人生にこんな絶頂があっていいだろうか。

当選してもいないのに「ありがとう」とつぶやいてしまう。

抽選会が始まり、白井氏のユニホーム、ファイターズ選手のグローブやバット、ツムラの入浴剤。すべて外した。

しかし、まったく落胆していなかった。
「残るは大谷翔平のサインボール」となったところで、なぜか「おれが当選する」と確信していた。
「間違いない。このためにおれはここに”呼ばれた”のだ」と。
無神論のくせに、都合のいい時だけ運命論を信じたいおれである。

初詣の時に購入した開運守りを握りしめ、ユリゲラーばりに念を送る。

60番……60番……、60番、60番、ろく……
(※60番=おれの抽選番号)

「発表します!」

「ひゃく……」

もうそこから先は聴覚を切った。

おれの中だけで静まり返る会場。
運命なんて信じない。

その数秒後、当選した女性が上げた「ひゃぁ!」という声で現実に戻された。「信じられない」という表情で、呆然とステージ上を見つめている。

わかるぞ、その気持ち。たぶんおれが当選しても、同じオクターブの声をきっと出してた。

おれがもらうはずだったサインボール。
それを手にするために、おれは今年最高の念力を送った。しかし、彼女の念力がそれを上回った。おれはこの女性に念力で負けたのだ。

白井氏にハグされる当選女性を、焦点の合わぬ白目で眺めるしかない廃人と化したおれ。

(ハグも含めて)心から羨ましく妬ましいが、それが神のジャッジである。来年までに念力を鍛えておこうと誓う。

ちなみにあとから知ったのだが、その当選女性はTwitterのフォロワーで、リプで何度か言葉を交わしたことのある方だった。

おれの念力はすぐそこまで届いていたんだ、ということで納得しようと思う。

-遺書(ブログ)
-, , ,

Copyright© R50(仮)-アールフィフティカッコカリ- , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.