勝利投手 楽天 早川 (2勝0敗0S)
敗戦投手 日本ハム 伊藤 (0勝2敗0S)
セーブ 楽天 松井裕 (1勝0敗3S)
令和の西崎vs.阿波野
今日は期待の伊藤大海が打たれ、早川隆久に手も足も出なかった。
伊藤が打たれたのはいい。ローテで回っていればそんな日もある。
早川が打てなかったのも、今の打線の調子からすれば仕方ない。
「伊藤が早川に敗けた」。この字面がただ苦い。
今日で早川は2勝目。伊藤は2敗目。これが辛い。
当人同士はどこまで意識しているかは知らないが、昭和オヤジとしては、同期の彼らには、どうしても「西崎幸広」と「阿波野秀幸」のあの熱かったライバル関係を重ねたくなってしまう。
当時のおれは、今では考えられないほどかなり極端な西崎ファンだった。ファイターズが勝っても「ふぅん、よかった」てな程度だったが、西崎が勝った翌日は明らかに機嫌が良く、敗けた翌日は大凹みして周囲に当たり散らした。タチの悪いことに、ファイターズが関係ない試合でも、阿波野が勝つと凹み、敗けたと聞くと大喜びした。この2人の勝ち敗けに異様に執着した。なんなら阿波野がちょっと憎かった。
ちなみに、当時の記憶はかなり薄いが、西崎と阿波野の直接対決はほとんどなかったと記憶している。「エースは中四日が当たり前」の時代にずっと避け続けるのは奇跡なので、あえて当てていなかったんだろう、と思ったことだけ覚えている。
令和の時代はそんなしがらみもない。中6日で回していても自然にぶつかる。昨年も二度(だっけ?)あった。今日は伊藤と早川の直接対決――個人的には、これだけでプレミアム度は相当高い。
おじさんになった今では、さすがに「早川が憎い」とまではいかないが、勝たれると焦る。同時に、伊藤が敗けると凹む。今日の直接対決の位置づけとその結果は、おれにとってはチームの勝敗を超えた特別な意味を持っていた。
昭和の話を長々としたが、これが言いたかった。
今日の早川は完璧
珍しく凹んでいるので正直ここで終わらせたいところだが、一応「備忘録」も記しておこう。
最初に捕まったのは伊藤だった。
3回表、2安打と四死球で1アウト満塁の大ピンチ。迎えた島内宏明はどうにか三振で凌ぐが、2アウト満塁から鈴木大地へ痛恨の押し出し四球。1点を先制された。
続く4回表にも捕まった。先頭から続けてヒットと四球を許し、ノーアウトランナー一塁二塁とされたあと犠打で送られ、1アウト二塁三塁となった場面でバッターは西川遥輝。前所属球団のときと変わらぬ抜群な選球眼で、ボール球は一切手を出さず、打てる球だけをじっくり待つ。そして、警戒する伊藤の4球目、つい高めに浮いたストレートを見逃さなかった。力強く叩いた打球はあっという間に一二塁間を抜け、2人のランナーが一気に還ってきた。3点目。
ご存じの通り、結論からいえば、試合はこれで決まっていたんだが、リアルタイムのおれは、この時点ではまだプレミアムな伊藤vs.早川の直接対決は楽しめていた。「打たれてガックリ」というよりは、無理くりでも闘志を燃やせていた。うまく言えないが、一言でいえばこんな感じだ。
「伊藤は3点取られた。おい早川! お前は3点以内で抑えられるのか!?」
今日の試合は(おれにとって)あくまで「伊藤vs.早川」だ。この両投手のうち失点の少ない方が勝ち、という”一騎打ち”だ。まだ勝負は途中だし、「うちの伊藤も打たれたんだから、早川だって打たれるに決まってる」という、何の理屈にもなっていない不思議な自信は残っていた。
ところがだ。その早川が凄まじかった。バシバシ三振を奪っていくタイプじゃないが、コントロールが抜群にいい。ゾーン狭めの今日の球審の特性にアジャストして、コーナーにビシビシ決めていた(この審判に伊藤は苦しんだ)。これでは、今のファイターズ打線では、芯を捉えることはちょっと難しそうだった。画面で見ている範囲では、投げミスがほとんど見当たらなかった。
結果、7イニングまで投げて被安打2、四球は1。伊藤が3点を失った4回以降は、3点どころか、1点も、いや1安打も打てなかった。完璧だった。
審判への対応、制球、駆け引き。どれをとっても「今日は早川の勝ち」と言わざるを得ない。
だんだん本気で早川が憎くなってきた。