ジャンル | サスペンス/スリラー |
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製作国 | インドネシア |
製作年 | 2024 |
公開年月日 | 2024/5/16 |
上映時間 | 84分 |
鑑賞 | NETFLIX |
「セリフなし」縛りの珍味
ネトフリで先週配信開始されたばかりのインドネシア映画。予告編がいい感じだったのと、説明欄に大きめのフォントで書かれた「この映画はセリフのない作品です」の文字に惹かれて興味が沸いた。観た。
なかなかの珍味だった。
「何者かに拉致された幼い姉弟が、誘拐犯の監視を搔い潜りながら逃げ出せるのか!」という話だが、本当に「セリフがない」のがキモで、事件や人物の背景はまったく語られない。
ただただ人里離れた山小屋に乱暴な誘拐犯夫婦(?)がいて、拉致された小学生の姉弟がいる。ストーリーはなく、舞台設定と登場人物しか存在しない。逃げなきゃ。どう逃げる?
半分イヤミだが「これぞ真のシチュエーションスリラーじゃないか!」と思った。
「セリフがない」というのも実際に観てみると意外と新鮮で、余計な会話がない分BGMや物音が強調されて、純度の高いスリルを味わえることを実感できた。面白くはないけど「恐怖体験」アトラクションとしては楽しめた。
そういう意味では84分(短い)程度の価値はあったかな、と思う。
ただし、ツッコミどころも多かったなあ。細かいところを挙げちゃうとキリがなさそうだが、大きくは2つに大別される。
犯人の謎の弱さ。ゾンビ的な頭の悪さ(条件反射だけで動いている感じ)。
自ら課した「セリフ禁止」鉄則による不自然描写。
ひとつひとつが結構大きめな雑音にもなったし、せっかくの純度の高いスリルも削がれてしまった。
素人が「もう少し上手くできるだろう」とか「こうした方が良い」なんて、言うのも聞くのも嫌だけど、このへんはもうちょっと上手く処理できたんじゃないかな……とつい思っちゃった。
まあ、そうは言ってもネトフリ製作作品。映像にチープ感は(あまり)ないし「アイディアで勝負してやろう」という気概も感じた。主人公の女の子の表情演技も良かったよ。
今後もインドネシア映画には注目していきたいと思う。