ジャンル | アクション / バイオレンス / サスペンス・ミステリー / ドラマ |
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製作国 | フランス |
製作年 | 2023 |
公開年月日 | 2024/3/8 |
上映時間 | 114分 |
鑑賞 | アマゾンプライム |
爽快ヒーローアクション!
犬に育てられた主人公が正義の殺し屋となって、悪に鉄槌を浴びせる爽快ヒーローアクション!
……そんなイメージだったけど全然違った。
もちろん先入観を持ったおれが悪いんだが、リュック・ベッソン監督作であの予告、ジャケ、そして「規格外のダークヒーロー爆誕」という景気のいいキャッチコピー――これじゃ、そう思っちゃうのも無理ないよね? っていうか、宣伝さんはそっち方向にミスリードして劇場に来させようとしてたでしょ。
アマプラのジャンル表示は「アクション・冒険」、Yahoo!では「スリラー/アクション」、wikiによると「アクション映画」。おいジャンル担当。これ絶対ジャンルを付けたのは観る前だろう!……おっ、Filmarksでは「ドラマ」になってる。Filmarksのジャンル担当、あんたちゃんと観たね。
まさしく、主人公ダグの壮絶な過去と現在、生き辛さから犯罪に手を染めざるを得ないような社会で、唯一の家族である犬たちと暮らす男の半生を映画いた「人間ドラマ」だった。「アクション映画」で誰もがイメージするようなアクションシーンはほぼない(「犬」はアクションする)。作風はむしろ地味で、宣伝で煽られているようなエンタメ色は、少なくとも自分の感覚だと「ない」と言っていいほど。
とことん暗くて重厚。自分のように「悪者をぶっ殺しまくってスカッとするアクション」を期待して観ると、終始コレジャナイ感はつきまとう。
ならば「途中で観るのをやめるか?」といわれれば、ちょっとやめることはできなかった。期待していたものではないけど「人間ドラマ」として見ごたえがあった。
主人公による心理カウンセラーへの独白によって、壮絶な過去が語られていく展開。幼少時代からとんでもない虐待を受け、母親は逃げ出し、果ては歩けなくなるほどの大怪我を負いながらも、想像を絶する苦難を乗り越えた。脱出後に安息の青春時代が訪れるも束の間、学位を取って社会に出ても職がない。淡い恋心なんか実るはずもない。人生なんて、いいことなんて一つもない。誰からも相手にされないと嘆く毎日。そんな自分にも、犬だけはいつも寄り添ってくれた。
白状する。何度も泣いた(ジジイだからさ)。
父親の虐待シーンや不衛生な犬の檻。
息子を愛しているけれども見捨てなければ生きていけない母親。
分け隔てなく優しくしてくれたサルマ先生。失恋。
ひたすらに弱者に冷たい社会と、温かく迎え入れてくれたドラァグクイーンの仲間。
そして、どんなときも心配そうにダグを見つめる犬たち。
どのシーンも生々しくて目が離せなかった。コレジャナイ感が消えることはないんだけど、ダグが報われるところを絶対に見届けたくなった。
まあ、最終的にどうだろう。「報われたのかい。報われなかったのかい。どっちなんだい?」って終わり方だけど、決して後味の悪い感じではなかった。
まとめ。期待してものとは真逆だったけど観てよかった。
こってりラーメン店のカレーライスが繊細で旨かった。