ジャンル | ドラマ |
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製作国 | フランス イタリア |
製作年 | 1988 |
公開年月日 | 2010/8/7 |
上映時間 | 168分 |
鑑賞 | アマゾンプライムビデオ |
お前は海大好きロボか!
この歳になってリュック・ベッソン監督の出世作を初鑑賞。
この「名作」のタイトルはVHS時代から知っていたし、ずっと観ねばと思っていた。それでも今の今まで手が伸びずにいたのは、ジャケットから漂うアート風(非エンタメ風)の香りと、3時間弱という尺の長さからだ。
おれも歳を取った。あくび映画も、3時間4時間超え長尺映画も含めてたくさんの映画を乗り越えてきた。耐性も備わった。風景や壮大な自然にも興味はある。「今こそ出陣!」ってことで、400円課金して鑑賞した。
寝た。
鑑賞中3度寝た。寝て起きては巻き戻し、違う作品も挟みながら、足掛け3日かかった。良くも悪くも「心地よい映画だった」というのが、一番上にくる感想だった。
これってあれだよね。BGM映画。何となく再生しておけば、部屋の雰囲気が心地よくなるタイプ。集中して物語を楽しむものじゃない。壁に貼られたラッセンの絵。
……なんて言ったらファンは怒るかな。すんません、言い過ぎました。
映像は本当によかったよ。
地中海の透き通るような青い海、息をのむほどの水中撮影、そして広大な自然の風景が、自分が海中で泳いでいるかのような錯覚にいざなう。特に、水中シーンの撮影技術は驚異的で、ダイバーたちの息づかいや水の流れがリアルに感じられた。アルファ波ムンムンで30分と見続けていられない。ぐっすり眠れた。
一応物語もあって、事前にあらすじを読んだときは「フリーダイビング選手ジャックとエンゾのライバルによる宿命の対決!」みたいな熱いスポ根かな?と思いきや、競技に関しては割とあっさりした印象。
それよりも、海の美しさ、素晴らしさ、そこから主人公2人の海への執着が狂気に変わっていく様子に重きが置かれている感じだった。
その目論見どおり、海が「美しい」「素晴らしい」は存分に伝わってきたが、特にジャックの変態的なまでの海への執着には一切共感できなかった。なので、当然のようにヒロインのジョアンナに感情移入して観ていくことになるんだが、そうするとだんだん不快になってくる。主人公ジャックにだ。
なんだコイツ。室内ではヤるだけヤって、家から一歩出れば「ボクは海を愛しているんだぜ」ヅラ。いつも貼り付けたような笑顔で、AIみたいな喋り方。お前は海大好きロボか!
ジャックに一かけらも人間味を感じなかった。ジョアンナがすごく感情豊かで魅力的だっただけに、身勝手に彼女を振り回すイケメンハゲがどうしても好きになれなかった。イケメンハゲは言い過ぎた。
反面、ジャン・レノ演じるエンゾはカッコよかったね。ガキ大将のように我がままで豪快で、そのくせ情に厚く繊細で強い。もちろん海を愛しているが、ジャックと違って女も家族も友達も愛する。ちゃんと人間。
映像は最高、脇を固めるヒロインとライバルも魅力的。振り返ると、主人公のあのロボだけが、個人的に好みではなかったってことかもしれない。
一応観た人に確認だけど、主演のジャン=マルク・バールさんって演技が激下手だよね? なんて言ったら怒られる感じ?
はい、冗談です。聞き流してください。