ジャンル | 伝記 / 歴史劇 / ドラマ |
---|---|
製作国 | イギリス |
製作年 | 2018 |
公開年月日 | 2019/3/15 |
上映時間 | 124分 |
鑑賞 | アマゾンプライムビデオ |
ポリコレがいきすぎて雑音
中世ヨーロッパの建物や雰囲気(総じて世界観)が大好物なのと、マイフェイバリット女優のシアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーがW主演ってことで、500円というちょい高めの課金も躊躇せずに鑑賞。この作品、知らなかった。
面白かった。
個人的には華やかな17世紀以降のバロック調が好きで、その時代の作品を選んでよく観るんだけど、それより一時代前に流行した厳かなゴシック様式の感じがリアルで新鮮だった。
衣装は全然派手じゃないのに豪華。女王だというのに普段の化粧は薄めってのもよかった。
変に照明は使わず、建物内の薄暗さ(電気はないからね)も相まって、没入感、というか「タイムトリップ感」は突き抜けていたと思う。おれ判定。
この作品に期待していた中世後期ヨーロッパの世界観に関しては大満喫。
それから、そんな世界観の中で”2人の女王”を演じたシアーシャとマゴロビも良かった。
特にシアーシャはよかったね。彼女のイメージといえば、美人で背筋が伸びていて優しくて善人で、少々堅苦しいほどに「いつも正しいことをする」タイプ(「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」のジョーみたいな)。
本作のメアリー1世は、「美人で背筋が伸びている」までは同じでも、お姫様育ちのワガママさとズル賢さと野望を併せ持ち、結構感情に流されて騙されたりするキャラクターは新鮮だったし、意外と合っていると感じた。一方、エリザベスを演じたマゴロビも、普段のセクシーで性格が悪くて軽薄なキャラ(ハーレイ・クインみたいな)は身を潜めて、冷静で厳格で思慮深い賢王をリアルに演じていた。
この2人の新しい一面を観られただけでも個人的に収穫。
ただなあ。全体的な話なんだけど、キャストにポリコレ(?)的配慮が透けて見えちゃったのはかなり雑音だったな。
勉強不足だったら大変申し訳ないんだけれども、16世紀の英国王室の側近って、あんなに多彩な人種がいたのかね。スコットランド女王の側近の一人は黒人男性だったし、イングランド女王の身の回りの世話をする女性はアジア人だった。ラテン系の側近もいた。(あとゲイ描写も)
仮に「いた」として、彼らがどんな経緯であの時代の英国に来て、どうやってあの地位までのし上がったのか……なんてサイドストーリーまで頭をよぎっちゃうんだよ。いらないでしょ、これ。
こんな歴史ドラマでも、現代のポリコレの波は避けては通れないのかね。これ以外の時代考証については相当リアルにこだわっていただろうに、この点は残念だった。
そんなわけで、世界観◎、物語〇、主演◎、ポリコレ×で、総合的に「〇」って感じの良作だった。
忘れたころにもう一度観たくなりそう。そしてまた「ポリコレがなければもっと楽しめたのに」なんて言ってそう。