遺書(ブログ)

奈落のマイホーム

更新日:

ジャンル アクション / コメディ / パニック / ドラマ
製作国 韓国
製作年 2021
公開年月日 2022/11/11
上映時間 114分
鑑賞 アマゾンプライムビデオ

 

アニキはスケールが違うぜ!

観た人だけにわかるように言うと、一番テンションが上がったのは「アニキはスケールが違うぜ!」ってシーンだね。

噂には聞いていたが、本当に面白かった。

マンション1棟がまるごと地盤沈下で500mの地中へ沈む――なんてシチュエーション誰が思いつくんだよ! まったく、韓国映画は天才か。

序盤はドタバタコメディ、一気にシリアスになって、ハラハラドキドキしつつ、しっかり涙腺をブチ壊されながらハッピーエンド。エンドロールの主題歌も、元気が沸いてくるような曲調で後味最高。エンタメとして、まさしくお手本にして完璧。

断絶された場所でのサバイバルムービーとしては、「FALL」とか「海底47m」に近いが、こちらは”マンションごと”なので食料や水の心配はそれほどない。空気の心配も(序盤は)ない。おっかない生物も襲ってこない(これはあってもよかった気もするが)。

だったら、ただ救助を待っていればいいのでは?

などと思っていたが、地中では意外に色んな困難が押し寄せてくる。落石(や”落スニーカー”)に襲われたり、傾いたマンションから落ちかけたり、泥沼に引っ張り込まれたり、ついには隣のマンションまでズリ落ちてきたり。

よく考えるとけっこう怖い。「そんなことまで!」ってことがテンポよく襲い掛かってくるので、ずっとハラハラドキドキする。しかも大雨が降って水が貯まっていくことによって、タイムリミットも発生する。

地上の救助隊が一向に手を付けられない状況も手伝って、まったく安らげる時間がなかった。さすが。上手いよね。

登場人物のキャラもいい。主人公はアイドルでもイケオジでもなく、普通の中年オヤジ。とにかくこのオヤジが頑張る。当方もオヤジなので、オヤジが困難に立ち向かう姿は無条件で目頭にくるんだよ。

そして冒頭でもちょっと名前を出した「アニキ」(役名は知らない)、こいつが正真正銘のキーマンだった。登場時はガサツで暴力的で性格が悪くて「なんてイヤな奴なんだ」と思わされたが、韓国映画のセオリーでは、必要以上に悪く描く登場人物ほど怪しい。必ずそれをフリとして、最後にとんでもない活躍をしてくれる。終盤のあるシーンで、おれと同じように、きっと誰もがこうつぶやくはずだ。

「本当にアニキはスケールが違うぜ!」。

まあ、そもそも無茶な設定を強引に進めるがために、ストーリーが展開するごとにツッコミどころがポンポン出てくるのも韓国エンタメ映画のお約束。ただ、小さなことはなるべく受け流して「エンタメの模範解答」のような優良シナリオの大きな波に乗っていれば、ちゃんと泣けるしちゃんとスカッとできる。

観てよかった。誰にでもおススメできるいい作品だった。

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