ジャンル | ホラー |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2013 |
公開年月日 | 2013/5/3 |
上映時間 | 91分 |
鑑賞 | アマゾンプライムビデオ |
本当に見せたかった『はらわた』
「死霊」って文字を打ってると、仕事メールで「資料」と打つ時に誤変換するから嫌なんだよな。「霊の死霊をお送りします」って怖すぎるでしょ。ホラーファンあるある。
さて、アマプラ100円セールを機に「死霊のはらわた」リメイク版を観た。
オリジナル版は約1年前に鑑賞したばかりでそれほど古い記憶ではないので、最初は「こんな話だったか?」と戸惑った。
あれ? アッシュはどれ? ん? 妹? 姉じゃなく?
記憶が怪しくなってきたので一旦一時停止して調べると、どうやら大まかな設定のみを継承した完全なる”リブート版”とのこと。登場人物などは刷新して、オリジナル版では端折られていた登場人物同士の関係性や、この小屋に来た目的などの設定が追加されている。
なるほど、良い!
やっぱり30年後の技術で、ちゃんとした予算を使って作れば、”あれ”が”こんなこと”になるのか、と感心した。設定やテイストを変えたというよりは、あの荒っぽかったオリジナル版を再解釈し、現代なりに丁寧に解像度を補完した「リマスター版」という感じ。
オリジナル版で思わず笑っちゃった場面も、現代の技術でしっかりリアルに、グロく作り直されてれていた。ちゃんと気持ち悪かったし、怖かった。
1981年当時、21歳だったサム・ライミがやりたかったのは、本当はこれだったんだろうな、と感じた。今でこそ「ホラーコメディのはしり」的な位置づけにされているけれど、
「本当は、俺は観客を心から恐怖で震え上がらせたかったんだよ! 笑わせるつもりなんてなかった。お金がなかっただけなんだ!」
そんな、ライミ青年の叫びが聞こえてくるようだった。
オリジナル版の成功で巨匠となった彼は、30年の月日を経て、プロデューサーという立場で「本当に見せたかった『死霊のはらわた』」をついに発表できた。
そんなサム・ライミストーリーを勝手に想像して、勝手に盛り上がってた。サム、君は頑張ったよ(拍手)。
出世作「死霊のはらわた」をリファインすることは、彼にとって人生のマイルストーンだった。たぶん、ヒットするか否か、オリジナルファンが喜ぶかガッカリするかは関係ない。実際、Filmarks評価をみるとネガティブ気味だと思う。
でもこれだけホラー映画のパターンが飽和してきている中で、「古典ホラーのリブート」という大義名分で、こんなド直球のゾンビホラーを現代の映像で観られること自体が、われわれ観客にとっても貴重だと思う。
成功してもなお30年以上も努力をやめなかったライミ青年と、このリブート企画を最後までやり遂げた制作陣には、個人的に感謝したい。
作品としては面白くはなかった。