遺書(ブログ)

LOU/ルー

更新日:

ジャンル アクション/クライム
製作国 アメリカ
製作年 2022
公開年月日 2022/9/23(NETFLIXオリジナル)
上映時間 107分
鑑賞 NETFLIX

意地悪ばあさんが元CIAの腕利きスパイだった!

「アンタ滞納してるじゃないか。いいかい、延期はいっさい認めないよ!」
……と、生活に苦しむ若い母娘から容赦なく家賃を取り立てる大家の婆さん。映画やドラマでもたまに出てくるよね。

そんなイヤミな婆さんが、実は元CIAの腕利きスパイだった!

という、よだれが出そうになる設定。「舐めてた相手が殺人マシーンだった」系を大好物とする自分としては、これだけで勝ち確。婆さん強かった。

静かに暮らす母娘の元へDV夫が現れて幼い娘が誘拐される、という場面から物語が動き出す。取り乱す若い母親”ハンナ”に「落ち着きなさい!」と喝を入れながら、手慣れた様子で銃火器の準備を始める大家の婆さん”ルー”。

ル「追うよ!」
ハ「ええ!? あなたが?」
ル「いいから準備しな!」
ハ「あなた、全然わかってない! 夫は元グリーンベレーの極悪人なのよ!!」

鑑賞側としては、「なるほどグリーンベレー(陸軍特殊部隊)か。相手にとって不足はないな」となる。ワクワクした。

なかでも、あの場面がよかった。敵のアジトに潜入するシーン。

アジトの入り口で、それまでの殺気に満ちた表情を緩め、「あ、あのう……ちょっと道に迷ってしまってのう。少しだけ休ませてもらえんかい?」と、いかにもくたびれた婆さんを装って敵の警戒を解く。敵としては、こんな婆さんが脅威になるとは夢にも思わない。世話話をしながら休ませてやるどころか、温かいスープまで振舞ってしまうのだ。

ちゃんと「婆さんである」ことを活かしたシークエンスになっていたのがいい。

ただしその反面、戦う上では「婆さん」であることは基本的にメリットではない。若い男と組み合えば力負けするし、体重が軽いから簡単に投げ飛ばされる。そこは元CIAならではの武器の扱いと、”戦い方の知恵”でカバーする様子がうかがえる。

リアルに、若い頃はめちゃくちゃ強かったんだろうなというのが見えた。美女スパコロ(スパイ・殺し屋/造語)愛好家としては、「年を取って体力が落ちた30年後のシャーリーズ・セロン(「アトミック・ブロンド」)」ってこんな感じなんだろうな、ということを垣間見ることができてテンションが上がった。

アクションスリラーとしてはキル数と血量が多くないのが少し物足りなかったものの、意外な真実判明からの、なかなかに切ないラストは好みだった。人によるとは思うが、おれは泣けた。

「母親に向かない女もいる」が悲しい。

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