ジャンル | コメディ / 青春 / ドラマ |
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製作国 | フランス |
製作年 | 1977 |
公開年月日 | 2024/12/13 |
上映時間 | 101分 |
鑑賞 | WHITE CINE QUINT |
「まったく面白くないのに大好きな映画」暫定2位
渋谷で用事があって、大昔によく通ったラーメン屋でラーメンを食いながら「あ、シネクイント行けるな」と思った。衝動買いならぬ「衝動鑑賞」。
とはいえ、宣伝時から気にはなっていた作品で、心のどこかで「隙あらば」と構えていた部分もあったと思う。
見てこのジャケ。ジャケっていうか場面写真か。
色彩は淡いのにめちゃくちゃポップ。刺さった。大刺さり。
ホラー、サスペンスの次にガールズムービー好き(誤解を恐れず)な自分としては、「これは間違いなく好きな映画になる」とこのビジュアル一枚で確信した。
物語はまったく面白くはなかった。
ローティーンの女の子が主人公なので、当然共感もない。
展開も緩やかで、盛り上がりどころも見つからなかった。
それでもこの作品の価値はそこじゃないんだよ!
……と強く言いたい。映画好きなら全員わかってくれると思うが、まったく面白くなくても「気持ちいい」映画はいくらでもある。まさにこれはそれ。
個人的にはソフィア・コッポラ作品と同じ引き出しに入る。
ソフィア監督ってつまんないもんね。だが好き。
ストーリーとしては、「ある中学生のマセガキ姉妹(特に妹)の、女子校生活1年間」といった感じ。家庭や学校に悩んだり、恋したり、友達にイキり散らかしたり、教師に笑えないイタズラをしたり、親や教師に反抗したり、友達や彼氏と喧嘩したり。大きな出来事はないし、ほんと、とりとめがない。
ハッキリ言って、知らない子のアルバムを覗いているような、ただの”出来事の羅列”なんだけど、それがね、すごく気持ちいいんだよね。
もうね、すべてのシーンが目が潰れるほど美しい。
これがフランス映画の魔力なのか、1960年代のノスタルジーなのか、単に10代の女の子たちの美しさなのか、色彩なのか撮影なのかカット割りなのか、その全てが合体したものなのかはよくわからんけれど、50代オッサンでもとてもいい気分になれた。
作品は主人公姉妹が浜辺で遊ぶシーンから始まり、ラストは1年後にまた同じ浜辺で遊ぶシーンで終わるんだが、あの子供だったアンヌ(妹)の、ドキッとするような大人っぽい表情で振り向くストップモーションが印象的だったね。
あんなとりとめのないような1年間でも、少女はビックリするほど成長するもんだな……なんて、親のような気持ちで目を細めてしまった。
「4K修復版」ということで、1977年時のフィルムがどんな状態だったのかは知らないが、この美しい一瞬を閉じ込めた映画を、現代の作品にも引けを取らない状態まで修復してくれたことに感謝したい。ソフト化、配信化されたら必ず再鑑賞する。
「まったく面白くないのに大好きな映画」暫定2位にランクイン。
(1位は「ロスト・イン・トランスレーション」)